otomeguの定点観測所(再開)

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2017世界陸上・男女マラソン代表

 さて、極私的回顧を進めるためにしばらくスポーツ系のテキストをお休みしていたので、ここからスポーツ系のテキストをいくつか続けます。いまさら感がある話題ばかりになってしまいますが、ご容赦いただければ幸いです。

 世界陸上・男女マラソン代表決定!】

sports.yahoo.co.jp

sports.yahoo.co.jp

freshlive.tv

http://www.jaaf.or.jp/taikai/1508/1508_file_1.pdf

 既報の通りですが、去る3月17日に今年のロンドン世界陸上に出場する男女のマラソン代表が決定し、記者会見が行われました。

【男子】

 川内優輝(埼玉県庁)

 中本健太郎安川電機

 井上大仁(MHPS)

【女子】

 安藤友香(スズキ浜松AC)

 清田真央(スズキ浜松AC)

 重友梨佐天満屋

 男子は東京マラソンで唯一の8分台をマークした井上、福岡3位の川内がまず順当に決まり、大会のグレードでは落ちますが別大を優勝した中本が実績と経験を買われて代表に入りました。女子では名古屋で初マラソン日本最高の2時間21分台をたたき出した安藤がまず内定、あとは大阪国際女子優勝の重友、名古屋で3位に入った清田が順当に選ばれました。結局、期待していた選考の混乱は怒らず、男女ともにすんなりと決まった形になりました。

 ・・・うーん、物足りないですねえ。

 

【男子総括】

 まず男子ですが、言うまでもなく低調です。昨年のリオ五輪の選考会が8分台1人という惨憺たる結果だったので、せめて7分台は出てほしいと思っていたのですが、結局、またも8分台がただ1人で、あとはサブテンがやっとという、相変わらずの体たらくです。気象条件の良かったびわ湖でせめてサブテンが複数出ていればまだ締まった結果になったんですが、終盤ケニア勢が失速した低レベルのレースだったのに、日本勢も同じように失速してだれも2時間10分を切れないという有様。川内と中本というベテラン頼みの編成で、東京五輪に向けて何の収穫もないシーズンとなってしまいました。

 ケニアエチオピアなどのアフリカ勢がどこまで本気で選手を送り込んでくるかによりますが、入賞できれば万々歳という状況であることは間違いありません。瀬古利彦はメダルと息巻いていますし、川内もメダルを目指すと怪気炎を上げていますが、観る側は過剰な期待を抱かずにいるべきでしょう。川内は市民ランナーという立場で世界陸上の代表になったこと自体が偉大なことであり、ロンドン本番がどんな結果であっても、彼を責めることはできません。中本や井上も川内とあまり力は変わらないので、同様の立場です。レースがスローペースになり、日本選手が粘りの走りを見せられれば、ロンドン五輪の中本のように入賞のチャンスは出てくるでしょう。とにかく展開次第です。もしハイペースになれば中盤までについていけなくなって終わる可能性も高いと思います。気温と天候が大きく影響しそうですね。

www.joc.or.jp

 

 

【女子総括】

 続いて女子ですが、名古屋ウィメンズにおける安藤の快走には、久しぶりに感動を覚えました。男女ともに待ちわびていた、一線級のマラソンのタイムがようやく出てくれたのですから。キルワと最後まで競り合ったレースの内容もレベルの高いものでした。

http://womens-marathon.nagoya/__assets/_womens/pdf/result_all/1-1200.pdf

www.youtube.com

 すわ次代のエースということで、マスコミが彼女のことをメダル、メダルとはやし立てそうですが、ここは冷静に見ていくべきでしょう。もしキルワに勝って優勝していればタイムだけでなく勝負の面でも力強い超新星の誕生だったわけですが、名古屋のレースの時点ではまだキルワと安藤には力の差があったように思います。それに、安藤は世界陸上の大舞台がマラソン2回目のレースとなります。まだキャリアが浅く、経験を積むべき時期でもあるのですから、過剰な期待をかけて彼女をつぶしてしまうのではなく、冷静に見守るのが吉でしょう。エントリーリスト次第ですが、もしケニアエチオピアが主力をごそっとエントリーして、キルワもいるとなると、メダルはなかなか難しいでしょう。アフリカ勢の一角を崩して入賞できれば、いい結果だと思います。この評価は重友や清田にも同じことがいえます。

 それに、今回の安藤の走りは日本女子マラソン復活への端緒に過ぎません。21分台やサブ20の選手がどんどん出てきて、かつてのようにまず国内で切磋琢磨する環境になっていかないと、国際大会でのメダルは難しいと思います。安藤の記録に刺激を受け、これから新しい選手たちがどんどん出てくるとともに、かつての高橋や野口のようなエース級が出てきたとき、はじめて日本女子マラソンの復活を宣することができます。ロンドンにとどまらず、内外のレースで日本の女子選手が躍動する姿を観たいものです。

 

【まとめ】

 とはいえ、もちろん私も内心ではメダルの期待をしてしまうのですが、まずは男女ともに入賞が現実的な目標でしょう。そして、メダルや入賞よりも、まずは代表選手6人全員がいい状態でスタートラインに立ってくれることを祈りたいです。北京五輪の野口欠場以降、世界陸上や五輪の大レースで、必ず日本代表の誰かが調整に失敗して、欠場したりボロボロの順位になったりしてきた印象があります。今年こそこういう残念な姿を見せないでほしいものです。

www.nikkansports.com

【選考レース直後に怪我】北島寿典(安川電気)【五輪94位】 [無断転載禁止]©2ch.net