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映画『あさがおと加瀬さん。』短評

 短評が続きますね。今回は先週公開になった『あさがおと加瀬さん。』のレビューです。百合作品であるため性文化的な要素が含まれるうえ、原作も含めたネタバレの可能性もあるので、この先を読む場合は気を付けてください。

 【まずはごく極私的な感想】

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「あさがおと加瀬さん。」アニメ公式サイト

劇場 | 「あさがおと加瀬さん。」アニメ公式サイト

「あさがおと加瀬さん。」アニメ公式 / Kase-san Anime Official (@asagao_anime) | Twitter

加瀬さんシリーズ - Wikipedia 

さくらと加瀬さん。 (ひらり、コミックス)

さくらと加瀬さん。 (ひらり、コミックス)

 
あさがおと加瀬さん。 (ひらり、コミックス)

あさがおと加瀬さん。 (ひらり、コミックス)

 
ショートケーキと加瀬さん。 (ひらり、コミックス)
 
エプロンと加瀬さん。 (ひらり、コミックス)

エプロンと加瀬さん。 (ひらり、コミックス)

 

 尊い・・・。

 

 長年原作に親しんできたファンにとっては、この一言で十分です。1時間、結衣と加瀬さんの清々しいピュア百合の世界を、ていねいな演出でたっぷりと堪能させていただきました。ごちそうさまでした。些末な演出なしで二人の絆をシンプルに描いていく〈加瀬さん〉シリーズの物語る力はやはり強い。映画を観た後、原作を読み返し、改めて作品の魅力を再確認しました。

 

【では、冷静に客観的な感想】

「んとね。」あさがおと加瀬さん。 暇人さんの映画レビュー(感想・評価) - 映画.com

映画『あさがおと加瀬さん』ネタバレ感想&考察 太陽と雨が織り成す、静かな百合物語…… - 物語る亀

あさがおと加瀬さん。 - 映画情報・感想・評価(ネタバレなし) | Filmarks

「あさがおと加瀬さん。」に関する感想・評価 / coco 映画レビュー

映画『あさがおと加瀬さん。』感想:百合アニメの概念を壊してくれた青春ラブストーリー! - アニメとスピーカーと‥‥。

 佳作だが小粒な印象。一言でいえばこれに尽きます。百合の入門的な作品として扱うか、百合の要素をオミットしてシンプルに物語を楽しむか、芳醇な百合の香りにあてられた後の一服の清涼剤としてアクセントに用いるか。『加瀬さん。』はこれらの用途に適切な作品でしょう。

 そもそも今回の映画はOVAの先行上映なので、原作のパッチワーク以上の水準を求められるものではありません。へたな実験や工夫に走って原作の世界を壊そうとせず、堅実に原作の映像化に徹したのが今回の映画『加瀬さん。』です。出てくるアイコンが既出のものばかりなのも、原作通りだから仕方のないことです。この作品はあくまで定型の記号的再生産であり、それで十分なのです。

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『リズと青い鳥』公式サイト

「リズと青い鳥」公式 (@liz_bluebird) | Twitter

【リズと青い鳥】「ハッピーエンド」にすがり、嘘をつけない音楽と向きあう - 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編 など - シミルボン

 今回、一つ『加瀬さん。』に不利となってしまった点を挙げるとすれば、『リズ』と上映時期が近かったことかもしれません。『リズ』は百合の歴史はおろか、日本アニメの歴史においても頂点の一つを占める作品であり、作画・演出・完成度などにおいて抜きん出ています。作品単体で比較すると『加瀬さん。』が勝てる要素はありません。とはいえ、両者が作品として目指す位相は異なっているので、『リズ』『加瀬さん。』を並べてレビューするのは適切ではないでしょう。

TVアニメ『citrus』公式サイト

TVアニメ「citrus」公式 (@citrus_anime) | Twitter

2018・1~3月・冬アニメ極私的回顧 - otomeguの定点観測所(再開)

 また、同じ百合アニメだからといって『citrus』と比較することも不適切でしょう。同じ百合の恋愛ものでも純度・濃度が異なります。『citrus』が高アルコールカクテルのようなものだとしたら、

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謹賀新年!/1月1日(日) | 酒とピアノとエトセトラ(Bar UK Official HP&Blog)since 2004.11. - 楽天ブログ

アースクエイク - Wikipedia

 『加瀬さん。』は低orノンアルコールカクテルのようなものなにで、やはり作品として目指す位相が異なると考えるべきです。同じピュアな百合でも、強い百合とソフトな百合を混同しないよう、よろしくお願いします。