otomeguの定点観測所(再開)

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2018アジア大会 男子サッカー

 毎度毎度の遅ればせで恐縮ですが、今回はアジア大会の男子サッカーについてまとめたテキストになります。

【120分の死闘を演じるも大きな力の差】

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 試合前の下馬評では、韓国が実力優位であり、また兵役免除のため何が何でも勝たねばならないためにモチベーションも高く、日本があらゆる面で不利だとされていました。蓋を開けてみれば、やはり前評判通りで、ハイプレスをかけて激しく攻め立てる韓国に対して守備網を形成して何とかしのぐ日本、という予想通りの展開になりました。それでも守備ブロックを固めて何とかしのいだ日本と、フィニッシュの精度を欠いた韓国は、前半を0対0のスコアレスで折り返しました。

 そして後半、韓国が攻め疲れてばて気味になってペースが落ちたため、日本も再三攻め込む場面を作りました。しかし、日本もフィニッシュの精度が高くなかったうえ、ゴール前で韓国の守備を崩すための工夫にも乏しく、結局、ゴールを奪うことはできませんでした。そして延長前半、途中出場で元気だったイ・スンウに叩き込まれて先制を許すと、再三しのいできたセットプレーからも失点を喫し、韓国が2点リードする展開になりました。日本も延長後半に何とか1点を返しましたが、韓国は最後まで主導権を握り続けて試合を締め、日本は残念ながら銀メダルとなりました。

 内容的に見れば、日本がよく120分もったなという印象の試合でした。U23とU21というカテゴリーの違い、ほぼフルメンバーを招集した韓国と招集に縛りのあった日本、兵役免除という高いモチベーションを持っていた韓国、などと日本が劣勢となった要因はいくらでも挙げることができます。でも、負けは負けです。今回の敗戦を真摯に受け止めなければいけないでしょう。

 とはいえ、限られた時間と制約の中で選手もスタッフも精いっぱいやったと思いますし、銀メダルを獲得したという一定の結果を得たのですから、このチームをきちんとねぎらわなければならないでしょう。どうもお疲れ様でした。

 

 今大会、森保の第一の意図は、大会を通じていろいろなシステムを試しながら、選手をふるいにかけることだったと思います。特に予選リーグでは、試合中にガラッとシステムを変えたり、選手にわざと不慣れなポジションでのプレーを強いたりして、いろいろな角度から選手たちを見極めていたという印象でした。それでも、勝ち進みながらだんだんと結束力が増し、チームとして形をなしていきました。森保がどんなスタイルのサッカーをやりたいのかは最後まで不明瞭なままでしたが、代表チームとして一定の団結力を示したことは収穫であり前進でした。

 協会のバックアップ態勢は今回も意味不明でした。協会はアジア大会を重要視せず、Jリーグの日程を優先して選手の招集に制約をかけ、事前の準備がほとんどないまま今回の代表チームをインドネシアに放り込みました。あくまで東京五輪に向けた強化試合の一環であり、アジア大会のタイトルの価値が高くないというのは理解できます。それでも、せめて事前に合宿を組むなり、森保に自由にメンバーを選ばせるなりして、もっとバックアップすべきだったと思います。ハリル解任からW杯に至る流れと同じで、結果オーライの行き当たりばったり感がぬぐえませんでした。

 結局、田嶋には明確な方針も覚悟ものないまま、代表チームを森保に丸投げしているだけだということです。今週の金曜にはチリ戦があり、いよいよ新生のA代表がお披露目となりますが、どうなりますやら。いつものぼやきですが、なでしこでできることがどうして男子でできないのか、ほとほと理解に苦しみます。

 ま、A代表については今後も過度の期待も悲観もせず、淡々と接するのが吉だということでしょう。とにかくチリ戦を見てからまた考えます。