otomeguの定点観測所(再開)

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超・モンスター事典――奈落の彼方に―― (アドバンスト・ファイティング・ファンタジー第2版)短評

 いやー、やっと出ました。今回はアドバンスト・ファイティング・ファンタジー第2版(以下AFF2e)対応の『超・モンスター事典』のレビューです。

  

  かつて小学生の頃にゲームブック片手に必死にダイスを転がし、屍を積み重ねながら這いずり回ったアランシア、カーカバード、そして暗黒大陸クール。そこに住まう愛しき化物ども。私が苦戦しながらもなぎ倒した、あるいは幾度となくくびり殺された、仇敵との再会、あるいは見知らぬモンスターとの遭遇。血と泥と混沌と汚物と魔術と死と恐怖にまみれた骨太で魅惑的な異世界・タイタン。エンタテイメントとしての普遍性を有するファンタジーの到達点の1つがここにあります。

 前作のモンスター事典がゲームブック、旧ファイティング・ファンタジー(以下FF)のデータに基づいていたのに対し、 

  今回はAFF2e対応の詳細なデータに基づいた表記になっています。訳文は平易で読みやすく、21世紀の現在向けにうまくアレンジされている印象です。AFF2eと旧FFのモンスター名を比較してみるのも楽しいでしょう。また、前作で収録されなかったモンスター、未訳作品を含むFFシリーズ中盤以降に登場するオリジナルモンスターが多数収録されており、暗黒大陸・クールのモンスターが相当数カバーされています。サソリ沼やバンシー号で戦った時のモンスターを探してみるのもよし、まだ見ぬ敵に思いをはせるのもよし。  

 

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 印象深い強敵や同盟者たちとの再会もございます。七匹の大蛇、剣魚人シラノ、サソリ沼の角デーモン、マンパンの大魔王、同じくマンパンの大理石の牡羊、シャムタンティのミニマイトなどなど・・・。少年時代の原体験が次々と湧き上がり、胸を躍らせながら読みふけりました。

 FFファンやTRPGゲーマーであれば迷わず「買い」です。単体の読み物としてもハイレベルなので、ゲーマーならずともファンタジーファンならやはり迷わず「買い」です。昨年、英語版で第3弾『真・モンスター事典――奈落への帰還――』も出ています。こちらも『超』に劣らず非常に面白い本なので、こちらの翻訳もお待ちしております。

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