リベラルな改憲のサルベージ および「国民怒りの声」について
なんだかサルベージばかりで恐縮ですが、今回は3月にあげた改憲に関する私の意見のテキストをサルベージします。現在の政治情勢などに応じて多少テキストを打ち変えておりますので、ご了承ください。
安保法案については当ブログでもいろいろ意見を述べてきましたが、今のところ私のスタンスは変わっていません。集団的自衛権の行使は容認しますし、自衛隊の役割拡大にも賛成ですが、解釈改憲で姑息に法的な枠組みを広げる自民党のファシストどものやり方は信用できません。まずは憲法改正から真正面に議論すべきものですから、安保法案は即刻廃案することが筋です。今夏の参院選を機に野党は一致団結して廃案を目指すべきです。
民進党については、多くの国民が期待してないと思いますが、私も期待していません。旧民主党時代に内ゲバで政権を崩壊させたことについて、総括も懺悔もできない輩に何を期待しようというのでしょうか。まして、今回の合同の相手のほとんどが維新の会という右翼反動からのこのこ戻ってきた日和見主義のメンバーばかりです。政権運営の失敗の総括さえできず、自民党に対抗するリベラルな政策軸をまとめることさえできない風見鶏どもには何もできないでしょう。
結局、頭は悪くてもノリと勢いで発言をぶちかますあべちゃんのほうがパフォーマンスはうまいということになります。
《ノリと勢い》
とはいえ、選挙とは消極的選択でも何かを選ばなければいけないという宿命のものです。憲法を争点とするなら自民党には投票できませんが、民進党はきちんと反自民票の受け皿になってくれるのでしょうか。もう少し様子を見て、民進党支持に回るかどうかは考えたいと思います。それまではまだ現政権支持ということにしておきましょう。
で、現在の自民党国家主義ファシズム政党が目論んでいるのが、皆さんご存知の通りの憲法改正です。その自民党の憲法案がこちら。
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf
ファシストたちがまとめた草案にふさわしく、基本的人権を大きく制限する内容です。新しい人権についての文言もあるので人権に配慮しているかと思いきや、政治判断だけで人権を制限できる旨の文言がちりばめられています。それに、日本国を美化する妄想めいた理念が端々に感じられます。国家国旗某とか教育基本某とか、自民党がつくった思想押しつけ法案の色を強く受け継いでいて、歪んだ道徳を国民に押しつけようとする文言が随所に見られます。法の条文としては主観的すぎるだろ、これ。憲法や法律に思想性を込めてはいけないはずなんですが、ファシストにはそういう中立的な発想は出てこないということですね。
そういえば、かつてこんなスローガンもありました。
《美しい国、日本》
《美しいクンニ、日本》
右翼反動やファシストたちが積極的に改憲の動きを打つ一方で、リベラル勢力がアメリカ作成の憲法を守ろうとする。日本の憲法論争はつねに改憲VS護憲といういびつな対立に終始してきました。各所で言われていることではありますが、不毛な戦いをやめて、リベラルの側からももっと改憲案を発信すべきです。今年の参院選はいい機会ですから、骨子だけでもいいから改憲案を打ち出して、自民党のファシズム憲法および法治主義を踏みにじる姿勢ををぶったたくべきです。
今のところ、個人的には、こちらの憲法草案がいくつか目を通したものの中ではベストかと思います。
ゲンロンの憲法案については発表当初から護憲サイドを中心にいろいろ批判が出ていましたし、いくつもいびつなところがあるのは確かです。例えば、天皇を国家元首として既定することはファシズムへの糸口になりかねませんし、賢人懐疑的に議会をコントロールすることは民主主義の崩壊および独裁につながりかねません。しかし、現在の日本国憲法が21世紀の状況に対応できず劣化を起こしている以上、リベラルの側から改憲議論を巻き起こすことは必要です。
改憲をする場合に極私的に必要だと思っている点は、以下の通りです。ゲンロン草案とかなりかぶっていますが。
〇自衛隊の定義および役割の明文化。9条の戦争放棄の理念は堅持し、並立を目指す。
〇道州制の導入による地方自治体の再編成および地方自治の拡充。
〇天皇は国王だが国家元首にあらず。事実上の天皇制廃止による共和制・大統領制の導入。形式としての皇室は継続するが役割を大きく縮小する。
〇参議院の廃止。国会を一院制にして定数を大きく拡大する。
〇憲法裁判所の設置。違憲判決に対して政治家にごちゃごちゃ言わせない。
〇環境権やプライバシーの権利などの新しい人権を加えることにより、広範な人権保障を行う。
〇憲法改正の発議をやりやすくして、憲法改正をもっと頻繁に行えるようにする。解釈改憲の阻止。
〇家族・教育などへの偏った思想流入の阻止。ファシズム的な文言を入れない。
〇国会議員の定数配分を機械的に行う機関の設置。一票の格差が生じることを阻止。
なんだか憲法に入れるべきではない細かい事柄や反動的な文言も混じっているような気がしますが、まあいいでしょう。
というようなことを考えているうちに、小林節がとうとう動きを起こしましたね。
この動きには賛成です。まずは野党勢力を結集させ、今年の参院選で与党が参議院の3分の2の議席を取ることを阻止しなければなりません。先日、野党が結集した北海道5区は全く盛り上がらず、低投票率の中で与党の勝利に終わりました。しかし、それで戦いが終わったわけではありません。それに、地域政党が大きな力を有する北海道5区と全国では、また様相は異なるはずです。
2016年は日本が法治主義を守るかファシズムに堕していくかの分岐点となる年になるかもしれません。本来なら、野党がこの動きも利用しながら一致団結して自民党を押さえ込みにかからないといけないはずのものです。そして、一人でも多くの人が選挙に足を運ぶように叫び続けなければいけません。日本の法治主義を守る砦として、頑張っていただきたいと思います。
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