レオナ・ウェストとジェンダー・アイデンティティ
恐れ入りますが、『プリパラ』関連テキストにもう少しお付き合いください。今回も社会的に不適切な性的記述がございますので、ご注意ください。
『プリパラ』の魅力の一つといえば、奇人ぞろいのキャラクターであり、彼女たちが作りだす狂気であるといっていいでしょう。
今回と次回の『プリパラ』関連テキストでは、私がお気に入りのキャラ2人に焦点を当てます。1人目はレオナ・ウェストです。
【レオナ・ウェストとは】
『プリパラ』1期での登場時、レオナ・ウェストの性別は明示されていませんでした。そもそもプリパラは女の子だけが入れる場所で、プリチケも女の子にしか届きません。しかし、様々な媒体でレオナの性別に関して微妙な表現がされていたため、男の娘疑惑が各所でささやかれていました。
そして、18話でレオナきゅんが本当に男の娘であったことが明らかになりました。やったぜ。
【男の娘アニメサンプル① 『ひめゴト』】
男の娘アニメは今やたくさんございます。『プリパラ』1期と同じ2014年の男の娘アニメといえば、まずこれでしょう。
パンティの下にあるおちんちんのふくらみがきちんと描写されている、とある筋では大いに話題になったものです。
ただし、性器描写については思い切った『ひめゴト』においても、ジェンダー的な描写では大したことをやっていないんですよね。主人公のひめきゅんは最終的に自ら進んで女装をするようになりますが、それはあくまで異性装としての女装です。ひめきゅんの根本のジェンダー・アイデンティティは男性であり、女装は男性という本質からの差延に過ぎません。『ひめゴト』は、異性装がごく日常のこととなっているという点で先進的・尖鋭的ですが、身体的・社会的・文化的な性を規定されたキャラが異性装をしているにすぎず、社会文化的なジェンダーの枠組みを突き崩してはいません。
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【男の娘アニメサンプル② 『俺、ツインテールになります』】
また、作画崩壊で話題となったこちらの作品も、少年が変身して美少女戦士になるため、性差を超越した作品であると一部で騒がれていました。
変身によって性差を混沌とさせているのは間違いないですし、途主人公の性別が物理的にも融解するという話もあります。
「俺、ツインテールになります。」11話感想 可愛くて頭おかしい、これでいい!色んな意味で勢いを取り戻した!! : ポンポコにゅーす
しかし、この作品は、男性オタク=おおきなおともだちのオタク的消費のリビドーをアイコンとして少年少女に付与して悪ふざけをしている作品であり、記号的消費についてのアンチノミーです。私も人のことは言えませんが、かわいければロリもペドもショタもふたなりも男の娘もトランスもすべてOK。アルティメギルの幹部たちの暴走・妄想ぶりに分かりやすく表現されています。つまるところ男性原理が振りかざす記号の再生産であり、この作品をジェンダー的にプラス評価するのは間違っていると思います。
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- 作者: ジュディスバトラー,Judith Butler,竹村和子
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 1999/03
- メディア: 単行本
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【やっぱりレオナきゅんは素晴らしい】
レオナきゅんに戻ってきました。『ひめゴト』も『俺ツイ』も男性原理に基づいたアイコンの消費であり、フェティシズムの記号化です。しかし、レオナきゅんは違います。リンク先でも触れられていますが、レオナきゅんは男性・女性というジェンダー的な軛を全く気にせず、自分らしさを優先して、明るく楽しく女装も男装も女性的な役割も男性的な役割も自然体でこなしています。そして、レオナきゅんの周囲には性差意識が全くなく、レオナきゅんはレオナきゅん自身として受け入れられています。自然にジェンダーを融解させるレオナきゅんのオープンマインドも、レオナきゅんの存在を全肯定する『プリパラ』世界のオープンさも見事です。レオナきゅんはありのままの自分を表現し続けている、そのことを再確認するエピソードが2期にありました。
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女児向けアニメでトランスジェンダーが明るく楽しく扱われるとは、なんとも尖鋭的な時代になったものです。性別を遺棄し、自然体で性差を超越するレオナきゅんは、ジェンダー理論・クイア理論の先端を体現しながら、3期でも活躍し続けてくれるでしょう。
【性的に不適切な例示】
かつてギャルゲーにおいて、ジェンダーアイデンティティの融解したキャラが出てくる作品をCAGEがせっせと生産していました。
ただし、この作品群にジェンダー的・フェミニズム的な価値を認めないようにお願いします。CAGEのヒロインはロリ・ショタ・ペドが基本で、今では制作できないような作品ばかりです。CAGEはオタクヒエラルキーの底辺に位置するロリ&ペド&ショタオタの小児性愛欲求を満たしてくれるブランドで、子供同士の天真爛漫なセックスに萌える私にとって必須の幼分摂取の場所でした。つまり、歪んだ男性原理が照射された合わせ鏡の中で、リビドーにまみれながらヒロインたちの性差は融解していたわけです。この混沌と背徳感がCAGE作品に甘美な魅力を与えていました。