ケノレステス
有袋類についての超マイナーな記事が続きますが、これも日本で書いているブログはほとんどないはずなので、取り上げます。前回のテキストで触れたケノレステスについて、もう少し詳しく書いてみます。
【有袋類の進化】
前回のおさらいになりますが、有袋類と有胎盤類はほぼ同時期に発生した、という見解を当ブログでは採用しております。有袋類と有胎盤類は新生代初期の暁新世・始新世には各大陸にいたようです。しかし、環境要因などのため、北半球(ユーラシア・北米・アフリカ)では有胎盤類が、南半球(南米・オーストラリア)では有袋類が生き残り、適応放散をしていきました。有袋類がアメリカ有袋大目とオーストラリア有袋大目に分けられるのは、大陸による地理的分化の影響ですね。
その後、オーストラリアではコウモリなどを除いて、人類の進出までは有胎盤類の侵入がなかったため、有袋類が適応放散して反映しました。
一方、300万年前にパナマ陸橋によって北米と南米がつながり、北米から有胎盤類が進出してきたため、南米の有袋類は有胎盤類との競争に敗れ、多くが絶滅の道をたどりました。その結果、現在南米にいる有袋類はオポッサム類・ケノレステス類・ミクロビオテリウム類の3グループのみとなりました。
オポッサム類は適応力に優れていたため、生存競争に勝ち残り、北米まで進出して繁栄しています。一方、ケノレステス類とミクロビオテリウム類は山地・高地・森林などにニッチを確保して、細々と生き延びてきたようです。
【ケノレステス類】
では、ケノレステスの解説に参りましょう。現在、発見されているのは6~7種類のようです。数年前に新種が発見されたというニュースがあったので、まだ未確認のものがいる可能性もあります。
ケノレステス類の体長はいずれも10センチ前後(尻尾を含めると20~30センチ)。長い鼻とやや細身の身体、長い尻尾が特徴だそうです。主に昆虫、ミミズ、少量の草などを餌としています。夜行性のものが多いらしく、主に夕方や早朝に狩りを行います。眼が小さくて視力はあまりよくないようで、鼻と耳を頼りに狩りをしています。穴の中やその周辺で生活していることが多いようです。有袋類ですが育児嚢がなく、メスが子供を運んだり、穴の中に子供を隠したりして子育てをするようです。
wikipediaなどをもとにざっとまとめてみましたが、実際には生態がほとんど分かっていないようなので、これからの研究次第というところのようです。トガリネズミあたりの生態に近いというイメージでよさそうですが。
You Never Hear Much About Shrew-Opossums - Scientific American Blog Network
Shrew opossum - Wikipedia, the free encyclopedia
Shrew opossum - New World Encyclopedia
ADW: Caenolestes fuliginosus: INFORMATION
ケノレステスの動画も集めてみました。しかし、姿を長い時間とらえたものがほとんど見つかりません。ドキュメンタリー的なものもなさそうなので、やはり研究・観察が進んでいないのかもしれませんね。