otomeguの定点観測所(再開)

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イギリスEU離脱決定

 イギリスの国民投票の結果が出ましたね。既に全世界に報道され、各国の市場でマイナス反応が出ています。離脱に伴う様々な懸念も報道されていますが、とりあえず個人的な覚書もかねて、気になったところをまとめてみます。

 【イギリス国民投票の結果と市場】 

www3.nhk.or.jp

 離脱が51.9%、残留が48.1%ですか。大接戦でしたが、離脱の勝利となりました。私は僅差で残留が勝つと予想していたので、驚きました。離脱に伴う政治的・経済的なマイナスは多々あるはずですが、最後は感情に流された人が多かったのだと思います。

 この結果に伴って、さっそく影響が出ていますね。

www.nikkei.com

matome.naver.jp

 やっぱりキャメロンが辞任ですか。政治的な賭けに打って出て、完全に読みを誤りましたね。もともとあまり高くなかった離脱の声が、国民投票を設定したことで一気に盛り上がり、キャメロンが意図したことと正反対に流れていきました。政治生命をかけた大博打に失敗したのですから、辞職は仕方ないでしょう。

 国民投票というシステムに対する懐疑的な声も上がっていますが、投票後に議論するなといいたいですね。それに、民主主義において国の行く末を左右する決断を国民投票に委ねるのは、システム上は全く正しい行為です。あとは、きちんと投票結果を尊重してイギリスとEUが粛々と手続きを進めるしかありません。たとえ僅差であれ多数派の意見が決定となるのが、良くも悪くも民主主義の宿命ですから。あくまで扇動する政治家の戦略や博打の才などの問題です。残念ながらキャメロンには博打の才がなかったということです。

www.jiji.com

 株式市場も大きく下げているようですね。欧州が下がってニューヨークが下がれば東京も下がるので、どうしようもないです。そしてポンドとユーロが下がれば円高になるので、これもどうしようもないです。しばらくマイナスの影響は止まらないでしょう。私の持ち株もさっそく大きく下がりました。リーマン・ショック級のスパイラルが起きるかどうかは、正直なところ誰にも予測できません。

jp.reuters.com

www.bloomberg.co.jp

mainichi.jp 

www.msn.com

info.finance.yahoo.co.jp

 

EU離脱ドミノ】

 さて、ここから政治的に懸念されることはたくさんあってきりがなさそうですが、とりあえず、思いついたところをいくつか並べてみます。まずは、既に懸念する記事も出ていますが、ハンガリー、オランダなどのEU離脱の動きが加速し、欧州共同体が崩壊に向かうことです。崩壊はせずとも、これでEUが弱体化することは間違いないので、世界における欧州の求心力はさらに下がることになります。

jp.reuters.com

 現在の欧州共同体は、単なる政治的・経済的利害に基づく連合体というだけではありません。欧州は第1次・第2次世界大戦ともに大戦の原因を世界に発信しました。そして欧州も戦場となり、多くの犠牲者を出しました。この戦争の惨禍を引き起こさないため、国家主義民族主義の枠を超えた国際的な連帯が必要であるということで、世界平和の理念に基づいて国際連合が組織され、欧州の共同体も組織されたはずです。

 しかし、第2次世界大戦から70年以上経って戦争の惨禍は忘れられ、EUは単なる政治的・経済的利害の集合体と化したように見えます。欧州が掲げてきた寛容と連帯の理念は風化し、各国に国家主義民族主義の声が高まっています。

 イスラム移民・難民の問題については、各国が経済的にも政治的にも受け入れが苦しくなっているのは分かります。しかし、アラブの春において中東に介入して政治体制を覆したのは欧米です。また、シリア内戦が国際的な介入を必要とする人道無視・人権侵害のレベルにあったにもかかわらず、ロシアとにらみ合いをして介入を控え、結果として内戦を泥沼化させて多くの難民が発生する引き金を引いたのも欧米です。これらの原因と結果の責任はだれがどのようにとるつもりなんでしょうか。

 ロシア・中国・アメリカのトランプなど、帝国主義的な原理に基づいて行動する国や政治家が跋扈している現在、欧州共同体が崩壊に向かえば、世界構造の時計の針が巻き戻され、第1次世界大戦前夜の帝国主義の時代まで戻りかねません。

 今月28・29日にEU首脳会議がベルギー・ブリュッセルで開催されます。ドイツやフランスを中心にEUが強い結束を示すことができるのか、それとも情けない姿をさらして崩壊ドミノを転げ落ちていくのか。嫌な予感ですが、混乱と緩やかな滅びの臭いがする気がして仕方ないです。

 

【英国解体】

www.soumushou.com

www.soumushou.com

www.newsweekjapan.jp

 予想通り、これも来ましたね。ニコラ・スタージョンにとっては願ってもない展開になったんじゃないでしょうか。独立してEU加盟のメリットを享受しつつ、北海油田の権益を得て、クライド海軍基地を接収できれば完璧ですね。スコットランドが動けば北アイルランドも反応してくるはずですから、イギリスの解体ドミノが一気に進むことになります。

 スコットランド北アイルランドも政治的にはイングランドに遠慮する必要は全くありませんから、解体を止めるとしたら理念かイメージに訴えるしかないような気がします。そうすると、政治的中立を破ってこのお方の登場ですかね。いや、女王様でも無理か。 

www.youtube.com

 

【まとめ】

 まだ当面、この衝撃的な歴史番組は続いていきますので、高みの見物としゃれこみましょう。私の持ち株がさらに下がったらしゃれにならなくなるんですが、まあそれはそのとき考えます。