昨日、イギリスのEU離脱についてはテキストをあげましたが、今日になっても世界中で様々な情報が飛び交っていて、混乱が続いてます。重箱の隅をつつくようで恐縮ですが、EU離脱に伴ってどうなるのか、気になることをいくつか並べてみました。
【ジブラルタルはどうなる?】
ジブラルタルはEU残留派が96%でしたから、今回の結果にはかなり不満を抱いていると思います。イギリスの海外領土とはいえ、自治政府が統治してきた地域ですから、本国の混乱の影響はできるだけ避けたいところでしょう。
さっそくスペイン政府が秋波を送っているようですが、18世紀以来のジブラルタル奪還が狙いでしょう。しかし、現在のジブラルタルの住民がスペインの影響力が強まることを望むとは考えにくいので、ジブラルタル独立論が再燃してくる可能性もあると思います。
【アリスとカレンへの影響は?】
特に影響はないでしょう。アリスの出身地はイングランドのコッツウォルズだから、今回のEU離脱に伴うスコットランド独立などのきな臭い動きに巻き込まれることはないでしょう。あの村はのどかな田園地帯で保守的な土地柄ですから、たとえイギリスが解体されてもイングランドとしての体が保たれている限り、住民の動揺はないと思われます。アリスやカレンの親の仕事に悪影響が出たらどうなるかは知りませんが。
問題は、カレンが愛用しているユニオンジャック柄のパーカーですね。イギリスが解体されてしまえばユニオンジャックが使えなくなるので、イングランドのセント・ジョージ・クロスのパーカーを羽織ることになるでしょう。
ユニオンジャックの成り立ち(画像元)
ご都合主義: スコットランド独立?(画像元)
あまり似合わない気がする・・・。
【英連邦はどうなる?】
国民投票の前にこんな記事も出ていました。しかし、昔の大英帝国の植民地でもあるまいし、英連邦の国々がかつてのブロック経済のように経済圏としてまとまるかどうかは、かなり疑問だと思います。オーストラリアやニュージーランドは、混乱するイギリスよりもTPPを活用しようとするでしょう。また、アジアの旧植民地国も、弱体化するイギリスよりも中国やASEANなど成長するアジアを活用する方が得策だと考えるでしょう。
そもそも、英連邦が成立するのは、旧宗主国のイギリスが連合王国としての国体を保持することが前提でしょう。もしイギリスが解体されれば、英連邦の根幹が揺らぐ事態になりかねません。現在の英連邦はゆるやかな主権国家の連合体ですから、それなりの紐帯は維持されるかもしれません。しかしそれでも、イギリスが解体されれば英連邦の結束の低下は免れないと思います。
【コモンウェルスゲームズ(英連邦大会)はどうなる?】
コモンウェルスゲームズは、英連邦に属する国々が参加してオリンピックの中間年に開催される総合競技大会です。日本でいえばアジア大会にあたるような大会で、オリンピック種目以外にローンボウルズ、ネットボールなど英連邦地域で盛んなスポーツ種目も開催されます。
結論としては、英連邦自体が解体されない限りは、2022年の南アフリカ・ダーバン大会までは開催されるような気がします。そもそもイギリスはイングランド、スコットランドなど地域別で参加しているので、イギリスが解体されても参加国に増減は生じませんし。それに、主催のコモンウェルスゲームズ連盟は各国政府からは独立した組織なので、連盟が即解体されるという流れにはならないでしょう。
しかし、英連邦自体がなくなってしまえば、コモンウェルスゲームズ開催の意義もなくなるので、中止になる可能性もあるでしょう。
【海外領土と王室属領はどうなる?】
もしイギリスが解体されたら海外領土や王室属領はどこに帰属するんでしょうか。ロンドンはイングランドに属するので、王室をイングランドが引き継ぐとすれば、ほとんどの海外領土と王室属領はイギリスからイングランドが引き継ぐことになるでしょう。しかし、問題はマン島です。
現在、マン島は法的にはイギリスの国土ではなく王室の所有地で、自治政府を持った独立性の高い地域です。しかし、マン島はもともとスコットランドとイングランドの間で所有権が行ったり来たりしていた地域です。もしスコットランドが独立したら、マン島の帰属権を主張する可能性は十分にあります。
もしそういう事態になったら、最終的にはマン島政府が決めるか、マン島の住民投票で決するか、どちらかになると思います。
【参考リンク】