魔法少女アニメまとめ⑤(ゼロ年代後半)※オタク向けの紹介です、多分
では、魔法少女もの紹介は第5弾、ゼロ年代後半に参ります。この年代は、前半に比べて作品数が減り、やや不作といえる時期でした。『ラブandベリー』『ジュエルペット』といった、オンラインゲームなどと連動した作品が登場し、現在の『アイカツ』『プリパラ』などに通じる流れができた時期でもありました。『アイカツ』『プリパラ』は魔法少女ものではありませんが、近接ジャンルの作品とみなしていいと思います。
『大魔法峠』2006
これぞ邪道魔法少女の正道。主人公である魔法の国のプリンセス・田中ぷにえは一見かわいらしい見た目ながら、どす黒い内面と他人を見下す偏見にまみれた精神を持ち、邪魔になるものは容赦なく魔法でも肉体言語(関節技)でも何でも使って叩き潰す筋金入りのマキャヴェリストでした。すがすがしいまでの歪んだ描写で、読者をも血まみれにしていく破壊力抜群のギャグアニメでした。世界の歪みを許容できる方は是非どうぞ。
『砂沙美☆魔法少女クラブ』2006
砂沙美☆魔法少女クラブ(Vap)
砂沙美 ☆魔法少女クラブ(日テレ)
全体の出来はまずまずという佳作でした。一応、砂沙美が主人公ということで、スターシステムを用いた『天地無用』『プリティサミー』のスピンオフですが、内容がかなりかけ離れているので、全く別の作品と考えたほうがいいでしょう。バトルの要素はほとんどなく、日常における魔法を丁寧に描くエブリデイマジックの作品でした。また、魔女狩りや魔法に伴う代償など魔法の負の部分も描かれていて、社会的・道徳的な側面もありました。
『出ましたっ! パワパフガールズZ』2006
本家とは異なる「アジアのパワパフ」を作るというコンセプトで制作されたため、本家とは全く違うビジュアルになりましたが、本家のノリと勢いについては変則的ながらも受け継いでいますし、これはこれでありでした。ハイテンポなノリと演出は回を追うごとに加速していきました。また、本家『パワパフ』のパロディやネタが随所に仕込まれていて、本家をリスペクトする姿勢は最後まで貫かれていました。
『オシャレ魔女♥ラブandベリー しあわせのまほう』2007
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『ムシキング』と同時上映されていた『ラブandベリー』の映画版です。全く期待していなかったんですが、なかなかの良作でした。『ラブandベリー』の世界を知らない子供も意識して、ちゃんと設定や世界観を説明していました。そして、ラブやベリーたちがオーディションを目指すというドラマを、50分という短い枠内で、3Dのダンスシーンも含めながらきっちりと描き切っていました。テレビアニメとしてシリーズ化してもよかった作品だと思います。
『かみちゃまかりん』2007
原作はそこまでひどくなかったんですが、アニメはひどい出来でした。こげとんぼ原作なのでキャラデザはかわいかったし、ギャグパートは良かったと思います。しかし、作画崩壊を起こすわ、ギャグパート以外の脚本はシリアス要素が中途半端だったためにわけが分からなくなるわで、散々でした。一番残念だったのは、ALI PROJECTを起用したオープニングが内容と全く合っていなかったことでした。
『もえたん』2007
懐かしいですねえ。一時期「萌え本」がわんさか出た時期がありましたが、40万部を売り上げて、「萌え本」の中でも最も成功したのが『もえたん』でした。そして、調子に乗ってアニメ化したのがこの作品でした。あくまで悪ノリとお色気要素の作品だったので、英語の勉強には役に立ちませんでした。
〈しゅごキャラ! シリーズ〉
『しゅごキャラ!』2007
『しゅごキャラ!! どきっ』2008
『しゅごキャラ! パーティー!』2009
PEACH-PITが《なかよし》に連載した、彼女たちの初の少女マンガ作品でした。当時の《なかよし》の看板作品であり、コミックは300万部、テレビアニメも2007~2010年まで放映されて、大ヒット作品となりました。
PEACH-PITといえば、『ローゼンメイデン』や『ZOMBIE-LOAN』など、世界もキャラクターもストーリーもエキセントリックな作風です。『しゅごキャラ』ではあくまで女児向けに明るい少女マンガの王道的なストーリーに徹していました。しかし、そこはあくまでもPEACH-PITです。藤咲なでしこ/なぎひこのトランスジェンダー要素、日奈森亜夢・亜実やほしな歌唄のゴスロリなど、彼女たちの得意分野の趣もきちんと挿入されていました。なでしこが実は男だと分かったときは、とある界隈に衝撃が走ったものです。
しゅごキャラ! 第25話 「なでしこ!春なのにさよなら!?」 - 四十路男の失敗日記
『しゅごキャラ』の藤崎なでしこが 男だと知ってショックでした…(*_*) キ... - Yahoo!知恵袋
PEACH-PITも適宜介入しながら、コミックとは異なるオリジナル要素が挿入されていて、アニメは原作とかなり違う質感になっていました。玩具展開、ハロプロの主題歌起用など、女児向けを意識して楽しくポップな雰囲気を演出していました。しかし、脚本の内容は、女児向けとは思えないテーマ性の高いものやえげつないものも多く、それが作品に深みを与えていました。やはりPEACH-PITはどこまでいってもPEACH-PITだったということですね。
『快盗天使ツインエンジェル 』2008
『快盗天使ツインエンジェル 〜キュンキュン☆ときめきパラダイス!!〜』2011,2015
パチスロ『怪盗天使ツインエンジェル』の派生企画で、OVAが2008年に作られ、テレビ版が2011年に放送されました。さらにテレビ版は2015年にOVAかされました。かなり露骨な萌えアニメですが、パチスロ原作のアニメとしては手堅く作ってあり、よくできた作品だったと思います。しかしそれでも、原作を知らないファンが観続けるにはなかなか苦しい作品でした。
〈ジュエルペットシリーズ〉
『ジュエルペット 』2009
『ジュエルペット てぃんくる☆』2010
『ジュエルペット サンシャイン』2011
『ジュエルペット きら☆デコッ!』2012
『ジュエルペット ハッピネス』2013
『レディ ジュエルペット』2014
『ジュエルペット マジカルチェンジ』2015
TVO テレビ大阪: ジュエルペット 宝石の目をもつ33匹のペットたち!
『アイカツ』然り『プリパラ』然りですが、玩具アニメだから女児向けだからと決して侮ってはいけません。一見明るくファンシーな雰囲気の裏に、メタ演出、ネットスラングなども絡めたコメディ、ブラックジョーク、逸脱したテンションのギャグ、時事的な風刺、道を踏み外した演出などが各所に仕込まれた、全く油断ならない作品群でした。シリーズ全体を通じて、女児向けの体裁は整えつつも、メタでカオスでキチガイなアニメだという強い印象を残しました。
神回・カオス回・キチガイ回・マジキチ回が多すぎて、何をどう紹介したらいいのかよく分からないんですが、いくつか例を挙げてみましょう。
『ガンバの冒険』をパロって、疑似妊娠女子高生が出てきた『サンシャイン』6話。
エアロスミスを爆発させ、アルマゲドンを見た『サンシャイン』7話。
世界がカレーによって汚染された『レディ』27話。
ジュエルペットのマジキチ回で打線組んだwww : どうでもいいまとめをのんびりやるよ。
・・・きりがないのでこの辺にしておきましょう。とにかくどのシリーズから観ても素晴らしい混沌の世界が待っておりますので、SAN値に気を配りつつ、異世界への扉を開けてみてください。
『あにゃまる探偵 キルミンずぅ』2009
一昨年、公式サイトがハックされたらしくてニュースになっておりましたが、まだ放置されているみたいです。いいのか?
河森正治の子供向け動物変身アニメ、というだけですでに神かカオスの予感がしたので戦々恐々としながら観たんですが、かわいくて楽しい良作でした。変身アイテム「キルミン」のSF設定はいつもの河森流でした。変身した後の動物コス(??)のデザインが萌えではあるものの愛らしく、非常に好感が持てました。ストーリーは全体に明るく楽しい話ばかりで、家族そろって楽しめる作品だったと思います。
『ひめチェン!おとぎちっくアイドル リルぷりっ』2010
『オシャレ魔女 ラブandベリー』の後継企画としてセガが開発した『リルぷりっ』のアニメ化作品です。販促用アニメと侮ってはいけません。一応、魔法少女が歌で人々を励まして幸福にするという基本骨子はしっかりしていて、女の子たちは明るく楽しい物語として観ていたはずです。しかし、この作品の肝は、〈ジュエルペット〉と同じく、作中にばらまかれたカオスなギャグやネタの数々でした。この疾走についていければ面白いアニメですし、ついていけなければクズアニメです。
ひめチェン!おとぎちっくアイドル リルぷりっ キャプ感想その1
ひめチェン!おとぎちっくアイドル リルぷりっ キャプ感想その2
ひめチェン!おとぎちっくアイドル リルぷりっ キャプ感想その3
ひめチェン!おとぎちっくアイドル リルぷりっ キャプ感想その4
【参考リンク】