otomeguの定点観測所(再開)

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リオ五輪~女子10000m世界新記録&男子20キロ競歩~

 スポーツ関連のテキストばかり続いて恐縮ですが、リオ五輪陸上競技についていくつか触れていきます。

 【女子10000m世界新記録】

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アルマズ・アヤナ - Wikipedia

 既報の通りですが、リオ五輪の女子10000mで驚異的な世界記録が誕生しました。「汚れた世界記録」といわれ、長らく君臨していた王軍霞の世界記録がついに更新されました。会見ではアヤナにもドーピングについての質問が出ていましたね。これだけドーピングが騒ぎになっている五輪ですし、エチオピアはドーピング疑惑でコーチが逮捕されるなどしていますので、疑問が湧くのは無理からぬことでしょう。正直、私も疑っている気持ちはどこかにあります。いや、ここは彼女の言うとおりクリーンであることを信じましょう。

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王軍霞 - Wikipedia

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 5000mの基礎スピードでいけばアヤナは今年14分12秒59を記録していますから、29分台前半の可能性を持っていたといえますし、上り調子で今回の五輪を迎えました。今回のリオ五輪は開幕前から特に長距離にとっては高速トラックだといわれていました。そして、南半球のこの時期の涼しい気候が記録更新につながるともいわれていました。また、五輪ではペースメーカーはつきませんが、彼女は昨年の世界陸上5000mを今回と同じようにハイペースで引っ張り、ぶっとばして優勝していますので、今回のようなハイペースは彼女の得意パターンといえます。様々な条件が彼女に味方し、驚異的な記録につながったといえるでしょう。

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 さて、日本勢ですが、高島由香が31分36秒44で18位、関根花観が31分44秒44で20位でした。記録的には二人とも自己ベストに比べて健闘しました。また、終盤のスパート合戦になると分が悪いので前半からハイペースで押していく、という入賞を狙ったレースプランもほぼ忠実に実行しました。二人の調子も悪くなかったはずです。しかし、予想をはるかに上回るハイペースの前に、なすすべもなく終わってしまいました。力の違いとしか表現のしようがないですね。

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 日本が少しでもアフリカ勢に食い下がるためには、まず14年間更新されていない渋井陽子の10000mの日本記録を破り、記録水準を早々に30分台前半に持っていき、そして29分台を狙うしかありません。しかし、まず日本記録更新を狙えそうな選手も見当たらないのが現状でしょう。結局、ここ10年ほどの日本女子長距離のレベル低下を象徴するレースでもあったわけです。

 

【男子20キロ競歩

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 今年の世界ランク1~3位を占め、メダルもと期待された競歩でしたが、松永の7位入賞のみでした。それでもこの種目では日本勢初の入賞なので、よく頑張ったと思います。競歩は気象条件やコースによって、またペースによってタイムがくるくる変わる種目なので、記録だけでは一概に強い・弱いを判断しかねるところがあります。また、国内の選考会で記録を出しても、日本勢は本番で崩れることが多かったですが、案の定、今回もそのパターンになりました。

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 昔から日本陸上の課題とされていることですが、国際経験のなさと駆け引きや揺さぶりのあるレースの弱さ。今回ももろにそれが出ましたね。私の知る限り1970年代から種目横断的に語られている日本の弱点ですが、またいつもの総括です。国内レースは強いが海外で結果を出せない。あるいはビッグレースで結果を出せない。この点はいつまでたっても解消されませんね。