2016極私的回顧その12 コミック(一般)
極私的回顧第12弾は健全なコミックに参ります。コミックのジャンル全てを追い切るほどの読書はできていないので、ジャンル全体のまとめは行わず、ベスト5を挙げるだけにとどめます。また、いつものお断りですが、テキスト作成に『このマンガがすごい!』およびamazonほか各種レビューを参照しています。
【マイベスト5】
1、私の少年
いわゆるおねショタものですが、ショタ属性がなくとも、30歳女性と12歳の男の子の純愛が繊細に描かれていく様に、きっと琴線が反応することでしょう。私はショタ属性のために惹かれてしまったわけですが。傷ついた聡子への癒しが奏でられ、美少年がもたらすカタルシスが描かれた1巻。そして、現実の状況が明らかになることで二人の関係の背徳感が増していく2巻。それでも二人の関係に清々しさを感じるのは、性的なペーソスが一切ない透明な世界ゆえなのでしょう。
2、〈こち亀〉完結
こちら葛飾区亀有公園前派出所 200 特装版 40周年記念 (ジャンプコミックス)
- 作者: 秋本治
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2016/09/17
- メディア: コミック
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些末なコメントは不要でしょう。物心ついたころからずっと親しんできた作品の大団円。どうもお疲れ様でした。
3、盆の国
ずっと夏休みのお盆が続けばいいのに・・・と小学生の頃に念じたこともありますが、まさかその願望を漫画化した作品が出るとは。お盆の1日が繰り返される世界を脱出すべく、主人公の少女が京都の町を駆け回るジュヴナイルSF・ファンタジーです。彼岸と此岸を行き来するファンタジックな描写、京都の町に溢れる祝祭感と、高校野球・セミの声・学校の宿題など夏休みにまつわるガジェットが醸し出すノスタルジー。ケイオスなのに心地よい世界はスケラッコにしか描けないものでしょう。
4、ディザインズ
遺伝子操作によってつくられた動物と少女のハイブリッド兵器・HA(ヒューマナイズド・アニマル)。彼女たちの戦いと純粋な心、兵器を開発した人間たちの醜さが交錯し、アップテンポながらも怜悧な物語が展開されます。「人間とは何か・自然とは何か」について問う、五十嵐大輔のの哲学的なまなざしは健在で、静謐ながら後味の悪い読後感の残る作品です。
原作は女子高生がクモに転生するという特異な設定で話題になったライトノベルですが、丁寧なコミカライズで原作以上に面白くなっていると思います。ギャグとシリアスのバランスもいいですし、原作ファン向け(??)にあちこち仕込まれたネタも面白いです。