リトアカ・ID-0感想⇒ワイドスクリーンバロックとはならず・・・
今期は注目アニメがいろいろありましたが、先日の日曜夜に『リトアカ』『ID-0』の2作が最終回でした。遅ればせですが、否定的な評価も含めて感想を記してみます。
Story -TVアニメ『リトルウィッチアカデミア』公式サイト-
リトルウィッチアカデミア(@LWA_jp)さん | Twitter
TRIGGERおなじみの激熱展開、ダイアコのシャイニーアルクなど、見どころの多い演出はさすがTRIGGER。最後まで期待を裏切ることなく突っ走ってくれました。極私的には2017年のベスト5に入るアニメになりますね。
『リトルウィッチアカデミア』22話感想 - otomeguの定点観測所(再開)
リトルウィッチアカデミアのシュールストレミングパイ - otomeguの定点観測所(再開)
ただし、以前のオールタイムベスト級になるかもしれないというところからは、かなり評価の下がるラストになってしまいました。グラントリスケル=世界改変魔法の描き方があまりにもしょぼい。魔術の設定に関する魅力的なガジェットをあちこちにばらまき、クロワをラスボスに見立てて散々盛り上げといて、世界を明るく変えるだけというのは、いかにも尻すぼみな印象です。「信じる心があなたの魔法」という作品のキーワードにのっとり、そしてアッコとダイアナに寄り添った物語としては全く正しいイラストだったと思います。
しかし、魔法の理も世界の理もナインオールドウィッチに関する謎も、大きく広げた風呂敷をたたむことなく物語が終わってしまいました。2期や劇場版につながる可能性もありますが、魔術的な世界の根幹までしっかり描き切ってほしかったというのが正直なところです。
TRIGGERは現在、アニメ制作において唯一、ベイリーやワトスンに匹敵するスケールのワイドスクリーンバロック的なアニメを制作できる、特異にして稀有な集団です。しかし、稀有壮大さにおいてはまだまだ過去の御大を超えられないというところでしょうか。
禅銃(ゼンガン) (ハヤカワ文庫SF ヘ 3-1) (ハヤカワ文庫 SF (579))
- 作者: バリントン・J・ベイリー,Nathan Yodan,酒井昭伸
- 出版社/メーカー: 早川書房
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【ID-0】
でも、『リトアカ』は激熱展開で終わってくれたから、それでもなお高く評価できる作品です。『ID-0』はワイドスクリーンバロックなる看板を最後にぶち壊して終わるという、最悪に近いラストになりました。
TVアニメ『ID-0』公式 (@ID_0_anime) | Twitter
はっきり言いますが、ワイドスクリーンバロックの看板を掲げるなら、萌えキャラも人間の情愛もストーリーの整合性も演出上の工夫も、そんな些末なものはどうでもいいです。問題は、どれだけ稀有壮大な風呂敷を広げ、それをきちんとたためなくてもいいから必死にたたんで作品を成立させるということ。安い人間ドラマに堕すくらいなら、ラジーブを地球に落として地球圏を壊滅させるくらいのことをやるべきでした。SFとして優れたアイデアも演出も多かったアニメだけに、最後に単なる愛憎の話になってしまったのが残念でした。