W杯に浮かれていて当ブログ本筋の書評などがすっかりおろそかになっていますが、ちまちまやっていくつもりです。飽かずお付き合いいただければ幸いです。今回のテキストは幾分、本の内容のネタバレを含みますので、ご注意ください。
【サメ推しによるサメ推しのためのサメ推しの本】
シャークジャーナリスト沼口麻子 (@sharkjournalist) | Twitter
発売5日で重版がかかり、異例のヒットを重ねているという、この本。面白いです。というか、筆者のサメに対する愛が溢れていて、読んでいて非常に好感が持てます。サメ自体に関する新情報はほとんどなく既出の事柄が中心ですが、文章が非常に平易で、かつ適度なユーモアを含んでいてバランスがとてもいいので、サメ入門として適切です。また、この手の科学ノンフィクションでは、現場の生の話や学者の人間臭い話、研究におけるマル秘エピソードなどのネタが興味をそそるものですが、その点も盛りだくさん。売れているのもうなずける出来です。
極私的に面白かったのは、生物学的なエピソードではなく、サメ肉料理の話です。フカヒレはともかく、サメ肉はあまり食べたことがないので、いろいろと驚きがありました。三内丸山遺跡からサメの骨が出土しているそうですが、日本人とサメ肉は古くから所縁のあるものなんですね。
では、ネタバレになりますが、本の中で取り上げられていたサメ肉とその料理をいくつか見ていきます。というか、単なる酒と肴の話ですが・・・。
1、アブラツノザメ
青森では一般的な食材で、東北中心に食べられているそうですが、さすがに山形の山間部では売っていなかったですね。肉にゼラチン質が多いので煮こごりに向いているそうですし、脂ののったお刺身やかば焼きのどんぶりもおいしそうです。絶滅寸前のウナギのかば焼きをやめてこのサメを食べていればいいんじゃないでしょうか。
2、ネズミザメ(モウカザメ)
これは食べたことありますね。都内のスーパーでも見かけますし、地方に行くと「モロ」「モウカ」と称して時々売っています。白身といえば定番ですがやはりフライ。ということで、「モウカフライ」を作ってみました。
サメ肉というとアンモニア臭が気になるという話がありますが、流通しているのは子供のサメが多く、また買ってきてすぐに調理すれば問題ないとのこと。実際、調理中には全く臭みを感じませんでした。普通の白身魚と同じように調理すれば何の問題もないですね。普通の白身魚よりもふんわりして柔らかいので、食感を生かすように衣は薄くつけて、通常よりやや短めの時間で揚げるのがいいようです。
白身のフライとしてはかなりおいしいです。クセがなくて淡白なので油との相性がすごくいいですし、柔らかいので食感が上品な感じです。これならフライ以外にも大概の料理にいけそうですね。今までほとんど食べていなかったのがもったいない。この本からいい食材を教えてもらいました。
ニュージーランドではレモンフィッシュと称して日常的に食べているそうですが、白ワインとの相性もばっちりでした。 是非またやりたいですね。
3、サメバーガー
本の中では上越でサメ肉の需要喚起のため作られたとのことでしたが、軽くググってみたら他にもありました。でも、小笠原諸島や宮古島は遠いなあ。出張でいく機会もなさそうだし。上越や沼津に行く機会があったら食べてみたいと思います。