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2018アジア大会 男子マラソン・長距離

 インドネシアジャカルタで開催されているアジア大会もあと数日で終了ですね。男女のサッカーも気になるところですが、まずは私のテリトリーの中で一足先に結果の出た、陸上のマラソン・長距離についてコメントをまとめておきます。まずは男子から。

 【男子マラソン

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アジア大会2018ジャカルタ/マラソン&競歩の日程や結果と日本代表一覧

 既報の通りですが、井上が実に32年ぶりの男子マラソンの金メダルに輝きました。1986年の中山以来の金メダルです。これだけ書くとなんだかすごいことのようにも思えますが、そもそもアジア大会のマラソンの位置づけというのは微妙です。五輪の中間年にあたるため、記録を狙いにいくなら欧米の都市マラソンの照準を合わせるべきですし。選手権レースとしての地位がそれほど高いわけではなく、メンバーのレベルも当然高くないですし。「勝つ」あるいはせいぜい「メダルを獲る」以外の価値を見出すことのできないレース、と書いたらdisりすぎかもしれませんが、重要度の高くない大会であるのは事実です。そのため、オリンピックや世界陸上に比べて日本が主力を送り込まないことも多く、韓国や中東勢になかなか勝てないレースが続いてきました。そして、アジア大会を勝てないことはさほど問題視されてきませんでした。

 そんな歴史があるだけに、今回、井上があえてアジア大会出場に踏み切り、かつ「金メダルを獲る」ということを有言実行したことには価値があると思います。レースの内容やタイムは別物で、勝ったという事実が大きいです。勝つか最低でもメダルを獲らないと意味のないレースですから。

 ゴール前の直線でハプニングがありましたが、あれは完全にバーレーンのエラバッシのミスです。5000m・10000mの実績を考えればエラバッシの方に分があったのですから、トラック勝負に持ち込んだ時点で八割がたエラバッシが勝利を手にしていたはずなのに、どうして塞がれることが分かっているインから切れ込んだのか。あれでは接触してくださいと言っているようなものです。アウトから追い抜いていれば普通にエラバッシが勝てたレースでした。レース後に形式的な抗議があったそうですが、もちろん判定が覆るわけもありません。

アジア大会:マラソン順位変わらず 2位バーレーン抗議も - 毎日新聞

 今回の金メダルが東京オリンピックにつながるかのような記事も出ていますが、前のめりしすぎです。東京オリンピックと同じような炎暑のレースだったとはいえ、レベルの高くないメンバーで2時間18分台の凡戦でした。内容的に次につながるレースではないので、井上の今後のレースとも東京マラソンとも切り離して考えるべきです。繰り返しですが、勝ったという事実が大きく、重要なのはシンプルにその一点です。

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 4位に入った園田の健闘を讃えるコメントも目にしましたが、3位に入った中国選手のレベルを考えても、何が何でも銅メダルを獲らなければいけなかったレースだったはずです。園田は既にMGCの権利を持っていますが、今回のレースを見る限り井上との力の差は明白でした。ミス云々ではなくタイム差通りの実力差でしょう。残念ながら、今後よほどの上積みがない限り、園田が五輪代表争いに絡む可能性は低い気がします。

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園田、メダルに届かず=アジア大会・男子マラソン:時事ドットコム

初のメダルも・・・アジア大会男子マラソンで再び浮き彫りになった、日中間の大きな差=中国メディア-サーチナ

 

【男子5000m・10000m】

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 こちらは日本勢不在の男子5000m・10000mです。レースをきちんと観ていないので正確な判断はできませんが、タイムだけから見ると、日本がきちんと代表を派遣していたらメダルをとれたのではないかと思えるレースです。特に10000mは銅メダルの中国選手が30分を超える凡戦でした。代表選手を派遣しなかった国に文句を垂れる資格などないのですが。とにかく、このトラックに日本男子の長距離選手が立たなかったことがダメ。出場しようと踏ん張った選手が1人もいなかったことが論外。それだけです。