otomeguの定点観測所(再開)

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2018アジア大会 女子マラソン・長距離

 では、男子に続いて女子のまとめにいきます。マラソンの銀メダルで何とか格好はつきましたが、5000m・10000mは厳しい結果に終わりました。

 【女子マラソン

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アジア大会2018ジャカルタ/マラソン&競歩の日程や結果と日本代表一覧

 ロンドン世界陸上の覇者であるローズ・チェリモが出てきた時点で他のアジアのランナーに勝ち目はないと思っていましたが、戦前の予想通りの結果になりました。男子で書いたことと重なりますが、女子マラソンも炎暑の中でのスローペースのレースになることが分かっていた以上、求められるのは内容やタイムではなく結果のみです。結局、王者が実力優位を示して危なげなく勝ったレースになりました。

 これまでの実績や積み重ねてきた苦労を考えれば、野上の銀メダルは素晴らしい結果であり、長年の研鑽がようやく報いられることになりました。本当におめでとうございます。近年、日本の女子のマラソン・長距離選手が長期のキャリア形成に苦しんでいる中で、ベテランのメダルは多くの選手たちに勇気を与える結果となったでしょう。

 しかし、野上は別に日本の女子マラソンの主力ではないですし、彼女の飛躍のきっかけになるようなレースだったとも思えません。今回の結果は喜ばしいものですが、男子の井上同様、やはり今後のレースやキャリアとは切り離して考えるべきものでしょう。このまま来年のMGCに直行するのか、春にもう1レース挟むのかはこれから考えることになるでしょうが、オリンピック代表に達するにはもっと上積みが必要だと思います。

 

【女子5000m・10000m】

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 松田瑞生鈴木亜由子が出場していない中、堀に頑張ってほしかったんですが、何をやってたんですか。前半集団を引っ張って消耗し、最後は暑さにもやられたのかスタミナ切れを起こしてズルズル後退しての7位。実力では十分にメダル圏内にいたはずなので、半ば自滅したようなレースになりました。去年のアジア陸上選手権では2位だったなので、少なくともアジアの舞台は経験して結果も出していたはずなんですが。ここで踏ん張れないとなると、来年の世界陸上東京オリンピックに向けての道程はかなり険しくなった気がします。

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 本人が一番分かっていると思いますが、鍋島もダメなレースでしたね。上記リンクのコメント通り、1700m付近でのペースアップについていかなかったのが全てでした。彼女の走力ならペースアップに対応して先頭集団につけたはずなんですが、結果を見ると、消極的な判断ミスでメダルのチャンスをつぶしてしまいました。アジアでのポジション争いを考えると、せめて銀のマスロヴァを叩いておきたかったところなんですが、厳しい結果になりました。

 

 残念ながら、今回のアジア大会で日本女子の長距離・マラソンに大きな収穫はなく、低迷する日本女子の現在地を改めて突き付けられました。東京オリンピックに向けて時間がなくなっていく中、厳しい戦いが続きそうですね。