otomeguの定点観測所(再開)

文芸評論・表象文化論・現代思想・クィア文化・社会科・国語表現・科学コミュニケーション・初等数理・スポーツ観戦・お酒・料理【性的に過激な記事あり】

2018アジア大会 男子3000mSC

 さて、先日の男子長距離とは別枠のテキストになりましたが、一応当ブログとしては触れておかねばならない事柄なので(?)、テキスト化します。既に一部の界隈で話題になっておりますが、例のにっこにっこにーです。

www.youtube.com

 にっこにっこにーは、映像では2:40頃に出てきます。塩尻和也といえば、現在の学生最強ランナーで10000mでただ一人27分台のタイムを持っており、3000mSCでオリンピックも経験した、現在の箱根駅伝界隈でただ一人世界と戦っているランナーです。今回、日本の男子長距離は3000mSCに代表を送ったことで、辛うじてアジア大会派遣選手ゼロという危機を免れました。

 前半から引っ張る積極的なレース展開でしたが、ラストにペースを上げられず、引き離されての銅メダル。自己ベストに近いタイムで走ったのですから、力を出し切った結果といえますが、本人のコメント通り、今後への課題も残したレースだったといえるでしょう。

 

www.youtube.com

 とはいえ、矮小化され尽くした現在の箱根駅伝において、国際舞台で戦っている稀有な日本選手です。というより、現在の日本の男子長距離においてトラックで世界と戦おうとしている稀有な存在です。東京オリンピックに向けて、是非もっと記録を伸ばして頑張ってほしいと思います。

 上の映像リンクでは日本記録更新の期待について語られていましたが、そもそも3000mSCという種目は、日本ではかなり冷遇されてきました。というより、中距離と長距離の中間あたりにあるあいまいな位置づけで、日本の陸上中距離がほぼ死に体であることも影響して、競技水準が長らく低迷を続けてきました。日本歴代10傑を並べるとこんな感じになります。

1、8分18秒93 岩水嘉孝 トヨタ自動車 2003年8月23日
2、8分19秒52 新宅雅也 ヱスビー食品 1980年7月8日
3、8分21秒6 小山隆治 クラレ 1974年6月22日
4、8分26秒48 内富恭則 中国電力 1997年10月29日
5、8分27秒15 山田和人 日産自動車 1990年8月17日
6、8分28秒98 仲村明 富士通 1992年6月14日
7、8分29秒05 潰滝大記 富士通 2017年7月13日
8、8分29秒14 塩尻和也 順天堂大学 2018年6月24日
9、8分30秒49 松本葵 大塚製薬 2010年10月11日
10、8分30秒8 岩渕仁 水戸三高教員 1978年9月25日

 うーむ・・・。岩水の日本記録更新からもう15年経つのかというのも驚きですが、トップ3に新宅や小山といった1970年代の名前が入っているのがすごいですね。日本の男子長距離が低迷する姿の一端を見ることができます。選手層が薄い種目であることは分かっていますが、塩尻はこの種目で本当に本当に久しぶりに出てきたエース候補なのです。東京オリンピックに向けて、まずは20世紀の古びた記録を蹴散らし、そして日本記録を更新して、競技水準を少しでも引き上げてほしいと思います。

 関係者には、塩尻にマラソンを進めるとか、箱根駅伝で酷使するとか、意味不明な選手起用を行わないよう切に願います。

 

 さて、塩尻といえばガルパンファンやラブライバーとしても知られている選手ですが、今回はアジア大会でにっこにっこにーをかましてくれました。

twitter.com

 

 

www.youtube.com

 今年のオリンピックでもにっこにっこにーが披露され、にこにーの存在認知が世界的なものになったことが証明されたのですが、

www.huffingtonpost.jp

www.youtube.com

 今回、アジア大会でもにっこにっこにーが披露されたことで、にこにーの「世界のYAZAWA」としての地位は確固たるものになったようです。ビバ、塩尻

 塩尻選手には今後とも高いパフォーマンスを期待していきたいと思います。