毎度毎度の遅ればせですが、ようやく『ペンギン・ハイウェイ』を観てきたので、雑駁ですが感想をまとめていきます。今年はなかなか時間が取れないですねー。
【分かった、原作小説とレムを読め!】
【肯定的レビュー】
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【否定的レビュー】
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なんぼでも貼れますが、こんなもんで。
うーん・・・。WEB上に的確なレビューが見当たらない気がします。映画を理解するために、まず原作小説とレム『ソラリス』を読みましょう。それから感想をまとめた方が、間違いなく作品理解が深まります。SF的な寓意や思弁を理解しないと、映画/小説『ペンギン・ハイウェイ』を正確に評することはできないと思います。私が読んだ中では映画パンフの大森望さんのレビューが最も的を射た解説になっていますので、そちらを参照することをお勧めします。
- 作者: スタニスワフレム,Stanislaw Lem,沼野充義
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今年観た劇場アニメーションの中でも最上位に位置する傑作だったと思います。秋以降にもっとすごい作品が出てくれば話は別ですが、今のところ「極私的回顧」では間違いなくベスト5に入れる作品です。
小説『ペンギン・ハイウェイ』は、他の森見作品にも見られるようなケレン味溢れるキャラクターや文章や土着的(京都的??)ファンタジーの要素を有しつつも、レム『ソラリス』に見られる科学的検証(ソラリス学)・ファーストコンタクト・科学的寓意・精神変容・世界と人格の融解と侵食・ホムンクルス・異質な知性・・・などの種種の思弁が森見流にアレンジされ、コミカルでポップでキュートなジュヴナイルとして定立した作品です。『ソラリス』の影響を受けた作品はいくつもありますが、小説『ペンギン・ハイウェイ』はそれらの一群の中でも最も優れた作品の一つだと思います。そして、極私的には森見登美彦の作品の中でも最も好きな作品です。また、数あるスペキュレイティヴ・フィクション(思弁小説)の中でも思弁が非常に明快で明晰な作品なので、SFに親しみのない読者にもお勧めできる小説です。
小説『ペンギン・ハイウェイ』は、ジュヴナイルとして、主人公・アオヤマ君とお姉さんのキャラが分かりやすく「立って」いますし、ストーリーも単線的で、かつ起伏がしっかりしているので、大筋では映像化しやすい作品だといえるでしょう。「おっぱい」「おねショタ」「科学少年」「さわやか」など、WEB上に溢れる『ペンギン・ハイウェイ』の表層をとらえた感想の群れは、コロリドのスタッフが小説のストーリーをうまく映像化できたことを示しています。過去のコロリドの作品は、映像表現には秀でていても、世界設定やストーリーやセリフ回しなどにおいて甘さの見られるものばかりでしたが、
陽なたのアオシグレ | 審査委員会推薦作品 | アニメーション部門 | 第17回 2013年 | 文化庁メディア芸術祭 歴代受賞作品
新人賞 - 台風のノルダ | 受賞作品 | アニメーション部門 | 第19回 2015年 | 文化庁メディア芸術祭 歴代受賞作品
今回、強力な原作を使ったことで、ようやく映像表現と物語・脚本のバランスが取れて、コロリドの作品が恐らく初めてエンタテイメントとしての高い強度を獲得しました。
しかし、『ペンギン・ハイウェイ』の映像化には、表層的な物語やキャラクターの構築だけでなく、科学的寓意や思弁の映像化という難題があったはずです。その中でも難関は、コーラの缶がペンギンに変わる場面と、物語終盤のペンギンパレードおよびアオヤマ君の深層心理=海の中に入ってからの世界の果ての描写、だったと思います。幸い、これら2つは鮮やかに表現されていました。特に、アオヤマ君の深層心理=世界の果てを正攻法の映像表現で描き切ったことは素晴らしいと思います。過去、科学的・SF的な思弁や寓意などについて、原作とは別の単純化した解釈をとったり、代替の映像を流してお茶を濁そうとしたりする作品もありましたが、
今回の映画におけるペンギンパレードの美しさと力強さは際立っており、コロリドのスタッフの表現者としての矜持を強く感じました。繰り返しですが、映画『ペンギン・ハイウェイ』は、抽象的な寓意や思弁を正面切って映像化することに成功し、かつ上質のエンタテイメントとして結実した、稀有な作品だと思います。過去の森見アニメとはかなり毛色の違う作品ですが、森見アニメにまた一つ愉快な傑作が加わったといえるでしょう。