科博「大哺乳類展2」感想
このブログでは科博の特別展の感想を何回かテキスト化していますが、「大哺乳類展2」に行ってきたので、その感想を遅ればせながらテキスト化してみたいと思います。
【過去の科博の感想】
【まあまあかな・・・】
前回の哺乳類展が2010年でしたから、9年ぶりの開催になりますね。いろいろ新知見があるのではないかと期待して観に行ったのですが、率直な感想はまあまあというところでしょうか。
第1会場では「哺乳類の生き残り作戦」と銘打ち、ロコモーション、歯・顎・咀嚼、繁殖、子供の擬態などの生き残り術、という並びで標本が展示されていましたが、強く惹かれる新知見はあまりありませんでした。
むしろ、印象に残ったのは第2会場の展示でした。いくつか紹介してみたいと思います。
【シロナガスクジラの調査結果】
まずは、昨年8月、由比ガ浜に漂着したシロナガスクジラの調査結果の報告です。輸送から解体、標本化に至るまでの流れが克明に展示されていて、生物の科学調査がどのような流れで行われるのかをじっくり観ることができます。10mの巨体なのに生後数カ月の赤ちゃんクジラであるというのが、シロナガスクジラの巨大さを物語っていますね。この子(??)の死因は、何らかの原因で親とはぐれ、自力で餌が取れずに死んでしまったのではないかということでした。
2018年8月5日 鎌倉市由比ガ浜海岸にストランディングしたシロナガスクジラ 調査概要
神奈川県・由比ガ浜の海岸に打ち上げられたシロナガスクジラ赤ちゃん。胃の中からプラスチック片検出。母乳しか飲まないはずなのに、浮遊する廃プラを誤飲したか(各紙) | 一般社団法人環境金融研究機構
改めて衝撃を受けたのは、赤ちゃんの胃から出てきたという廃プラです。プラスチックが環境に与える悪影響はもちろん知っているつもりですし、廃プラの映像や実物を見たのも初めてではありません。でも、いつ見ても不快感の湧いてくるおぞましいものです。
巨大クジラ標本、圧巻のどうぶつ大行進、科博を支える職人の貴重な原画 国立科学博物館「大哺乳類展2」開催中 (l_am1703_mammal14.jpg) - ねとらぼ(画像元)
プラスチックの誤飲が直接の死因ではないと思われますが、人間が無闇・無責任に捨てるプラスチックが野生動物に重大な影響を与えることを改めて思い知りました。プラスチックはちゃんと燃やさないとだめですね。
【Art of Mammals】
そして、同じく第2会場に展示されていた、標本作製師の渡辺芳美のクジラ原画展です。特に、リンク先にもある、タイヘイヨウアカボウモドキの絵に強く惹かれました。アカボウクジラの仲間は生態が不明のものが多く、まだ未発見の種も多いと言われていいるため、とにかくデータが少ないです。鹿児島には全身標本もあるとはいえ、絵にするのはサンプルがほとんどない中での大変な作業だったはずです。貴重で精細な絵に長い時間見入ってしまいました。
巨大クジラ標本、圧巻のどうぶつ大行進、科博を支える職人の貴重な原画 国立科学博物館「大哺乳類展2」開催中 (l_am1703_mammal16.jpg) - ねとらぼ(画像元)
勤続半世紀、国立科学博物館の“必殺仕事人”が描いた「世界の鯨」ポスターに秘められた物語 (1/3) - ねとらぼ
第2会場はなかなか良かったのですが、やはり第1会場の展示でもっとユニークな切り口がほしかったというのが率直な感想です。今年の夏は恐竜が控えているので、そちらに期待しましょう。