オオモンシロチョウとチョウセンシロチョウ
オオモンシロチョウについては、以前、外来種の事例として記事にしたことがありますが、最近、その侵入と現状について詳しく分析したブログ記事を見つけました。そこで、それを紹介しつつ、オオモンシロチョウについて振り返ってみたいと思います。
当ブログでは外来種について繰り返し記事にしていますが、
2018極私的回顧その24 科学ノンフィクション - otomeguの定点観測所(再開)
2018極私的回顧その16の3 思想・評論(思弁的実在論SR・オブジェクト指向存在論OOO・新しい実在論NM関連) - otomeguの定点観測所(再開)
2017年極私的回顧その24 科学ノンフィクション - otomeguの定点観測所(再開)
2017サイエンスアゴラレポ - otomeguの定点観測所(再開)
ヒアリとアルゼンチンアリ - otomeguの定点観測所(再開)
『複数性のエコロジー』レビュー?? - otomeguの定点観測所(再開)
在来種という概念など犬に食わせろ - otomeguの定点観測所(再開)
そうはいってもやはり外来種は駆除すべきである - otomeguの定点観測所(再開)
外来種の駆除は不可能でありカネと時間の無駄である - otomeguの定点観測所(再開)
外来生物の中にも人為的に持ち込まれたものと、自力で日本に飛来したものがいます。このうち、自力飛来の例として当ブログで取り上げたのがオオモンシロチョウでした。
詳しくはリンク先の記事をお読みいただきたいのですが、要約しますと、オオモンシロチョウはもともとユーラシア大陸に広く生息しているモンシロチョウに近縁のシロチョウです。それが海を渡って1990年代初頭に日本に飛来して、1990年代からゼロ年代にかけて北海道を中心に大発生しました。モンシロチョウが1か所に1個の卵を産卵するのに対し、オオモンシロチョウは1か所に大量の卵を産みます。また、アブラナ科を中心とした食草がオオモンシロチョウとモンシロチョウはかぶっています。そのため、旺盛な繁殖力にものをいわせて大発生し、分布をどんどん広げていきました。モンシロチョウを駆逐しかねない勢いだったそうです。
ところが、10年代に入ってオオモンシロチョウは急激に数を減らし、モンシロチョウの数は回復し、分布域を押し戻しました。オオモンシロチョウがいなくなったわけではないので、日本定着は一応成功したようですが、わずか10年での驚くべき変化です。素人の私見で、日本の寄生バチがオオモンシロチョウを狙うようになったのではないかと思っていたのですが、やはりそうだったようです。最近、その裏付けとなるようなブログ記事を見つけました。
生物学の研究者だった方のテキストらしいので、リンク先をお読みいただければ、私のような素人の浅はかな記事よりはるかに詳しく正確な情報が得られます。やはり寄生バチが原因の一つだったようです。さらに、他の昆虫や鳥もオオモンシロチョウを食べるようになったとのことなので、オオモンシロチョウは天敵の増加のため大きく数を減らしたようです。確かに、卵をまとめて産みつければ、鳥や寄生バチなどの格好の標的ですよね。旺盛な繁殖力が逆に天敵を引き寄せてしまうとは皮肉な話ですが、自然界のバランスはよくできていると感じます。
同じブログにチョウセンシロチョウ侵入のテキストもありました。浅学で恐縮ですが、これについては全く知りませんでした。やはり人為的要因がなくとも生物は遷移するようです。
チョウセンシロチョウ(ちょうせんしろちょう)とは - コトバンク
記事によると、チョウセンシロチョウは1979・80年に北海道で発生が確認されていたそうですが、台風や集中豪雨の影響で生息していた河川敷が何度も激流に洗われ、天災によって姿を消してしまったそうです。人為的要因であれ自然遷移であれ、外来種の侵入は八割方失敗に終わるものだそうですが、チョウセンシロチョウの事例はその証左の一つなのでしょう。