2019SFセミナーレポートその7 ナイトランドクォータリーの部屋
遅れに遅れておりますが、SFセミナーのレポートがようやくこれにて終了です。こちらには毎年顔を出していますが、アトリエサード《ナイトランドクォータリー》の合宿企画です。
Flying to Wake Island 岡和田晃公式サイト(新)
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2018SFセミナーレポートその7 《ナイトランド叢書》と《ドラキュラ紀元》の部屋 - otomeguの定点観測所(再開)
2017SFセミナーレポート⑥ 《ナイトランド》&岡和田晃新刊~アトリエサード関連 - otomeguの定点観測所(再開)
2016SFセミナーレポートその5 合宿「ナイトランドセッション出張版 ナイトランド叢書のいままでとこれから」「MELANO MUSEUMの謎」 - otomeguの定点観測所(再開)
毎年当ブログでレポートしてきた《ナイトランド》ですが、アトリエサード以前の創刊時から関わってきた牧原勝志(植草昌実)さんが退社し、岡和田晃さんを外部委託の編集長とする新体制になりました。その公開編集会議と称し、内輪ネタを含むいろいろな話が飛び交っていた、というかいつもの岡和田独演会になっていた企画です。
とりあえず、次号《ナイトランド》の詳細についてはすでに岡和田さんがツイートしているうえ、この合宿企画で話していた要点をほとんどつぶやいているみたいなので、とりあえずこちらをご覧ください。ぶっちゃけ、私のレポートの意味はほとんどありませんね。
お待たせしました。「ナイトランド・クォータリーvol.17 ケルト幻想〜昏い森への誘い〜」(アトリエサード)が、2019/6/5ごろ発売になります。 pic.twitter.com/Kzv5a3xXe3
— 岡和田晃_『骨踊り 向井豊昭小説選』 (@orionaveugle) May 22, 2019
今号は完全新体制での号となります。前号に続いて岩田恵さんをプロジェクト・マネージャーに据え、岡和田晃は2代目エディター・イン・チーフとなりました(岡和田はアトリエサード社員ではなく外部編集者の立場なので、こういう形でお願いしています)。
— 岡和田晃_『骨踊り 向井豊昭小説選』 (@orionaveugle) May 22, 2019
そのうえで……これまでのホラー&ダーク・ファンタジーの蓄積を、より拡がりのある文脈に接続すべく試みました。
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今号の目玉は、井村君江ロング・インタビューです!
関連し、うつのみや妖精ミュージアムの模様をヴィジュアルで紹介しています。
藤原ヨウコウさんの新コンセプトのアート「Visonary Celtic」も惚れ惚れする美しさです。
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また、古典新訳は『ルクンドオ』が好評の遠藤裕子さんによるアーサー・マッケン「変容」(旧訳では「変身」)。
ボブ・カランの訳や『幻想と怪奇の英文学』シリーズ編纂等で知られる下楠昌哉さんにはジェレマイア・カーティンを選定&翻訳していただきました。
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いずれも、土俗的なホラーの妙味を堪能いただける逸品です。
現代作家は、本邦初紹介の実力が確かな作家ばかりを選定しました。
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M・ジョン・ハリスンの訳で知られる大和田始さんに、ピエール・コムトワを担当してもらいました。ケイオシアム社で小説も出している作家ですが、今回訳した「幻の巻狩」は、アーサー・マッケンをリスペクトした作品です。
ジェフ・C・カーター「かかる警句のなきがゆえに」はヘリオガバルスと剣闘士がモチーフ。なんと、今作が世界初公開になります。
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デヴィッド・テラーマン「木の葉のさだめ」は、レイ・ブラッドベリやオーガスト・ダーレスを彷彿させるノスタルジックか観点からの「ケルト」解釈。賞も受けています。
リサ・L・ハネット「食べさせてあげなきゃ」は、「インスマウスの影」のケルト版!? ともいうべき作品ですが、多用な解釈が可能です。
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既訳のある現代作家としては、世界幻想文学大賞作家アンジェラ・スラッターの「赫い森」をどうぞ。王道ダーク・ファンタジーです。こちらは拙訳でお楽しみください。
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日本人作家は橋本純さん、松本寛大さん。橋本さんの「いつか野に咲く麦になるまで」は『ガリア戦記』のエピソードを正面から再話したもの。
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松本寛大さんの「ケルトの馬」は、プレグジットや民族紛争の状況と「ケルト」を融合させた作品。
批評とブックガイドも充実。
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朝松健さんは、アーサー・マッケンと魔術について、深く掘り下げた論考を書かれています。
『プリズナーNo.6完全読本』で、『秘密諜報員ジョン・ドレイク』の力作レビューを書かれた深泰勉さんが映像と音楽についてのコラムを。
徳岡正肇さんは、デジタルゲーム『Hellblade』やライナー・クニツィアの『ケルト』についてレビュー。
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岡和田はアーサー・マッケンやヘレン・マクロイ、M・ジョン・ハリスンについて単発で批評を書き、児童文学(アラン・ガーナー、モリー・ハンター、ピーター・ディキンスン)、ノンフィクション(フローラ・アニー・スティール、『バルサス=ブレイス』、木原誠など)、
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フィクション(ロード・ダンセイニ、芥川龍之介、ピーター・トレメインなど)についてガイドを書きました。
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なお、発行が遅くなり申し訳ありません。次号は改善したいと思います。
「ナイトランド・クォータリーvol.17 ケルト幻想〜昏い森への誘い〜」詳細目次;https://t.co/g8mVPjfSAz
— 岡和田晃_『骨踊り 向井豊昭小説選』 (@orionaveugle) May 22, 2019
岡和田さんのツイートにない、合宿で出ていたネタ話を記してお茶を濁すことにします。
次号の目玉の1つが井村君江インタビューだそうです。
井村さんの論文・エッセーなどの仕事は通算3000以上に渡るそうで、とんでもない数です。ところが、実はまだ出していないネタもたくさんあって、例えば日本文学のネタをたくさんお持ちなのだそうです。井村さんにかかると50代の研究者も若手扱いで、彼女しか知らない昔の話がわんさか出てくるとのことです。これまでの《ナイトランド》のインタビュー記事よりも紙幅を割いているとのことなので、楽しみですね。
うつのみや妖精ミュージアムには私も何回か足を運んでいますが、次号ではその紹介もしているとのことです。公共施設という日常の中に違和感なく妖精の異界が溶け込んでいる姿、日常と異界が地続きになっている環境は非常に心地いいものだと思います。また機会があれば行ってみたいです。
岡和田さんからは今後の《ナイトランド》の企画予定についても出ていましたが、とりあえずキーワードのみにしておきます。18号は夏以降の刊行予定で、コラボもあるかもしれないとのことです。今後のテーマ予定としては「空」「図書館」「架空の都市」「驚異」「ゾンビ」「音楽」「人ではないものを食べる」なんていうところが出ていました。
SF・幻想文学などの短編を載せられる媒体が商業ベースでは限られているので短編のプラットホームが必要であるとか、ホラーのファンダムについての話なども出ていました。また、アトリエサードで今後出していきたい作家ということで、いろいろな作家の名前が挙がっていました。とりあえず、私がホールドストックとマキャモンの名前を挙げたことのみ触れておきます。
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