otomeguの定点観測所(再開)

文芸評論・表象文化論・現代思想・クィア文化・社会科・国語表現・科学コミュニケーション・初等数理・スポーツ観戦・お酒・料理【性的に過激な記事あり】

さいこん1日目終了

 日本SF大会・さいこん1日目から帰還しました。巽孝之さん、小谷真理さん、増田まもるさん他、お相手くださった皆様、ありがとうございました。本来なら詳しいレポをあげなきゃいけないんでしょうが、前日までの仕事で疲労困憊だったため、詳細なメモを取る気力がありませんでした・・・。とりあえず、本日回った企画について簡単に記してお茶を濁します。どうもすみません。

 【まずは星雲賞

 2019年・第50回星雲賞受賞作は以下の通りでした。


 日本長編部門(小説)『零號琴』 飛浩隆
 日本短編部門(小説)「暗黒声優」草野原々
 海外長編部門(小説)『メカ・サムライ・エンパイア』ピーター・トライアス
 海外短編部門(小説)「円」劉慈欣
 メディア部門『SSSS.GRIDMAN』
 コミック部門『少女終末旅行』つくみず
 アート部門 加藤直之
 ノンフィクション部門『筒井康隆、自作を語る』筒井康隆日下三蔵
 自由部門 『MINERVA-Ⅱ1のリュウグウ着地及び小惑星移動探査』

2019年 第50回星雲賞

 メディア部門にはやや異論がありますが、他は納得の受賞という感じですね。ほぼ順当な結果だったと思います。

 

【回った企画】

 では、私が回った企画の雑駁で申し訳ないですが感想をまとめていきます。

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 ひかわ玲子さんと縞田理理さんがパネラーで、ファンタジーにおけるキャラの作り方、特に美少女・美青年など美形キャラを作るのがいかに難しいかという話でした。話の中心に据えて動かしすぎると美形ではなくなるが、ずっと出しつづけなければいけないため扱いが難しいそうです。また、外見が良ければ美形というわけではなく、性格とか立ち位置とか様々な要素が加わっているとのこと。ひかわさん曰く、ガンダムのキッカは美少女枠のキャラだということでしたが、そうかなあ・・・?

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 私が毎度お邪魔しております企画ですが、巽さん、小谷さん、増田さんはいらっしゃいましたが、菊地誠さんは欠席でした。来年の福島にはいらっしゃるそうですが。

 話に上がっていたのはまず《三田文学》のSF特集。草野原々でさえ気を遣ってパンチ力を緩めたのに、コールダーが変態鬼畜な短編を送ってきたため、危うく検閲されかけたそうです。私は鬼畜・凌辱のエロゲーやコミックを読みなれているので特に違和感はなかったのですが、文学はすべからく変態であるということなのでしょう。慶應の卒業生には定期的に送られる雑誌なのだそうですが、SF特集というだけでさえハードルが高いのに、よかったんでしょうか。 

  そして、世界初のAI同士の結婚の動画の話が盛り上がりました。LGBTだけでなくあまねくすべてのものを差別してはいけないという、良き証左になるのでしょう。

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 続けて大野万紀さんが加わり、マッキンタイアの追悼企画をやっていました。SFセミナー小谷真理さんが追悼企画をやっていたのですが、その本格版ということだそうです。

 〈ゲド戦記〉のアニメ化はマッキンタイアがル・グインにけしかけたという話は去年のSFセミナーで出ていましたね。『ハウル』がすごくいい出来でみんなダイアナ・ウィン・ジョーンズを羨ましがっていたため、仕方がなかったんだそうです。ジブリが最初にル・グインに企画を持ちかけたときは断られたため、〈ゲド〉ではなく『ナウシカ』が制作されたという経緯もあるそうで。宮崎駿が直接やっていればよかったんでしょうけど、すでに『ナウシカ』でやりたいことをやりつくしていたので、息子に回してしまったとのこと。さもありなんですな。

 そして、ダナ・ハラウェイがマッキンタイアに大きな影響を受けているということは、小谷さんから話が出るまですっかり失念していました。最近「サイボーグ宣言」再読を怠っていたので、不覚です。ハラウェイは自分のことを「マッキンタイアリスト」と称していたそうで、少なくとも「サイボーグ宣言」の骨格となったのは概ねマッキンタイアのSFなんですよね。再読しなきゃいかんな。

 

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 そして、最後は分子生物学に関するパネルです。非常に面白かったのですが、科学的な内容について正確に要約・解釈する力が私にないため、レポートは割愛させていただきます。教養不足で申し訳ありません。