さいこん2日目も行ってまいりました。1日目同様、疲れていてメモをとれなかったので、廻った企画を列挙してお茶を濁します。何卒、ご容赦ください。
【まずはSOG賞】
とにもかくにも、まずはSFセミナーで1次選考についてのレポを挙げたセンス・オブ・ジェンダー賞の結果から参りましょう。
大賞 田中兆子『徴産制』
最有力とみていた『徴産制』が順当に大賞を受賞しました。ジェンダー的な鋭利さを考えれば当然の受賞でしょう。男性視点から見たファンタジックな女性偶像に冷水をぶっかけたという作者のコメントがまた痛快でした。授賞式で小谷さんは「暖かい作品」とおっしゃっていましたが、男性視点から見るとそうでもないと思うし、「男らしさ」に対する女性視点からのバイアスも感じます。しかし、それらを綜合してジェンダー的なエッジになっているのがこの作品の強みでしょう。
『ヨメヌスビト』 はBLとしてはやはり鋭利な作品だと思いますが、極私的にはジェンダー的に尖鋭な作品は候補作の中にもっとあった気がします。まあ、SOG研のおねーさまがたの好みを考えると納得ではあります。
【その他、廻った企画】
プロの話もいいですが、やはりファン視点からアニメやギャルゲーを熱く語る視点に賛同できるのは、オタク的な感性を共有しているからでしょう。
文学初心者に向けての企画と銘打たれていましたが、リストを見ると、牧眞司さんの推薦作以外は結構ハードルが高い気がします。極私的にはほとんど全て読んでいたので、新発見はありませんでした。デリダのカフカ解釈について客席からもう少し茶々を入れたかったのですが、さすがにやめました。
以下、推薦された作品を挙げておきます。
〇牧眞司推薦
- 作者: ルネドーマル,Ren´e Daumal,巌谷国士
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1996/07/01
- メディア: 文庫
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- 作者: フランツ・カフカ,Franz Kafka,前田敬作
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1971/05/04
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 76回
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- 作者: リチャードブローティガン,Richard Brautigan,藤本和子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2003/07/01
- メディア: 文庫
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〇渡邊利道推薦
入沢康夫「ランゲルハンス氏の島」
〇橋本輝幸推薦
〇西崎憲推薦
【改めて、さらに回った企画】
恐怖についての本質的な議論というよりは、途中からパネラーの好きなホラー映画評や怪奇体験の話に終始していました。もっと抽象度の高い議論を期待していたのですが、これはこれでありかと。
TRPGは長いことやっていませんが、創作とのリンクについて感覚的に何となくつかめました。司会進行の準備不足ゆえか(??)、散発的な話に終始して一貫性のない企画だったのが残念です。
とりあえず、こんなところで。
来年・再来年のSF大会は日程的に休みをとるのがきつそうです。何とかしたいとは思いますが。また私が参加することがありましたら、皆様、どうぞよろしくお願いします。