〈このすば〉とりあえず完走したので感想
毎度毎度の遅ればせですが、今月発売されたスニーカー文庫で〈このすば〉17巻が出て、カズマたちの物語がとりあえず完結しました。
物語の完結としては大団円になりましたので、良かったと思います。アクアが女神の矜持を示したり、めぐみんが毎日爆烈魔法を放っていた意味がようやく明らかにされたり、ダクネスがいつも以上の捨て身を見せてくれたりなど、4人とも思った以上の活躍でした。そしてラストは〈このすば〉的なカズマの外道ぶりできっちり落とす。カズマやアクアはじめ主要キャラ4人にきちんと見せ場を用意しつつ、最終決戦ということで盛り上がりを見せながらも〈このすば〉の要点は外さない、安心のテンプレ。シリーズをずっと追ってきた身としては、これだけやってくれれば十分という出来でした。
一応の完結とはいえ、スピンオフを含めてまだ解決されていない謎や未回収の伏線がありますので、続刊への期待も大です。まだまだ〈このすば〉を楽しめるということですね。
〈このすば〉はテンプレートの寄せ集めです。そもそも、ライトノベルの記号的ファンタジーにおいて、ジャンル・ファンタジーに含めることのできる作品はほとんどありません。コアなファンタジーファンの視座から見れば、〈このすば〉を含む記号的ファンタジーはイロモノです。だから、このテキストにも「ファンタジー」のカテゴリーをつけていません。でも、テンプレであろうと記号の組合せであろうと、やり方次第でいくらでも面白いエンタテイメントは作れます。ラノベ読者もテンプレートであることを理解した上で楽しんでいます。間違いなく〈このすば〉は面白く、大きな支持を受けて盛り上がった作品です。
作品をジャンルを超えてあるいはジャンルにとらわれず楽しみ、多様な評価軸を持つ。実行している方は多いと思いますし、難しいことでもないと思います。