otomeguの定点観測所(再開)

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『アンモナイトの目覚め』感想

 先週末の公開を受け、早速観てきました。傑作です。

 

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映画『アンモナイトの目覚め』 公式サイト (gaga.ne.jp)

映画『アンモナイトの目覚め』公式さん (@AmmoniteJapan) / Twitter

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アンモナイトの目覚め - Wikipedia

ケイト・ウィンスレット - Wikipedia

シアーシャ・ローナン - Wikipedia

メアリー・アニング - Wikipedia

【「アンモナイトの目覚め」評論】息を殺して見守らずにはいられない、2大女優が紡ぐ足枷から解き放たれた絆 : 映画ニュース - 映画.com (eiga.com)

 流産で衰弱した化石収集家の妻を静養のために置いていかれ、その静養を預かるのに乗り気ではないヒロイン、メアリー・アニング。飾り物の人形のように表情のない若い妻シャーロット。最初はぎこちなかった二人の関係ですが、化石収集を介して徐々に共感が目覚め、やがて愛へと発展します。

 ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・アーナン、生々しいセックス描写までこなしてみせた女優2人の気迫あふれる好演が観客を強く引き込みます。19世紀末、優れた業績をあげながら当初は男社会の古生物学会から除け者にされていたメアリー・アニング。ケイト・ウィンスレットの心に沁みる・人間味あふれる演技は、彼女が女優としても一人の人間としても円熟したことを示すものでしょう。シアーシャ・ローナンも、シャーロットが借り物のお人形から知性溢れる若妻へと脱皮する様を見事に演じ、メアリーだけでなく観客の心もとろかしています。

 また、背景としての時代や風俗の描写、化石収集などの古生物学の知見、イギリス海岸地方の情景など、細部まで作り込まれた演出も巧みで、完成度は非常に高いです。

 当ブログ的に性文化的にくくるなら、成熟したレズビアニズムの傑作映画。女性同士の愛を描き、細部まで端正に作り込まれた秀作映画。必見だと申し上げましょう。