文庫のライトノベルに続いて、単行本・ノベルズなどその他のライトノベルについてまとめます。ノベライズやリプレイなども含めているため、例年、版型がカオスになりますが、何卒ご了承ください。なお、いつものお断りですが、テキスト作成に『このラノ』およびamazonほか各種レビューを参照しています。
2020極私的回顧その8 ライトノベル(単行本・ノベルズ・ノベライズ・リプレイなど) - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)
2019極私的回顧その8 ライトノベル(単行本・ノベルズ・ノベライズ・リプレイなど) - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)
2018極私的回顧その2 ライトノベル(単行本・ノベルズ・ノベライズ・リプレイなど) - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)
2017年極私的回顧その2 ライトノベル(単行本・ノベルズ) - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)
2016極私的回顧その2 ライトノベル(単行本・ノベルズ) - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)
【マイベスト5】
1、え、社内システム全てワンオペしている私を解雇ですか?
なろう系のTUEEE系ロジックを現代の会社ものと組み合わせた作品。現実の会社風景や通常の会社小説と比べてしまうと、ツッコミどころは多々ありますし、根本的にはなろう系のテンプレートの組み合わせですが、スカッと楽しむことができたので、1位に持ってきました。私はSEではありませんが、うちの会社でも情報システム部門の人間たちは冷遇されており、理不尽な扱いを受けたり、人がよく入れ替わったりしているので、このような逆転・逆襲の物語は楽しいものです。
悪役令嬢ものは定番ですが、現代社会に悪役令嬢を登場させるというアイデアはこれまでなかったものでしょう。タイトルに偽りありで、乙女ゲーの要素も悪役令嬢もののテンプレもほとんど登場せず、バブル崩壊から不良債権問題、リーマンショックへと至る、日本の政治経済の混乱にいかに復讐するかという物語です。リアルにこれらを見てきた身としては、バブルから立ち直り、再び発展しようとしている日本の姿に感動しつつ、いまだ無為無策を続ける現実の政治に憤りを覚えずにはいられません。
3、葉隠桜は嘆かない
男子高校生が魔法少女になってしまう、トランスジェンダーの魔法少女もの。少年が世界や家族を守るため正体を隠しながら魔獣と戦う、謎の黒幕が暗躍する、秘められし幼い頃の記憶など、ラノベ文芸的なダークなテンプレートのてんこ盛り。しかし、物語はジェットコースター的な緊迫の展開で、十分面白い作品です。何度も書いていることですが、テンプレートの組み合わせでも面白い作品はいくらでも作れるのです。
4、秘密結社デスクロイツ
いつもの安定のハイテンションな林トモアキ世界。一癖も二癖もあるイロモノのヒロインたちが織り成す変態気味のラブコメ。という紹介が妥当ですよね。ヒーローによってほとんどの悪が滅亡した世界で、細々と悪事を続ける、主人公が所属する秘密結社。そこに群がる正義の美少女戦士や魔法少女。はっきりいってどっちが悪役か分かりません。このまま失速せず突っ走ってくれることを祈ります。
5、旅団世界TRPGリプレイ
本年度のリプレイ枠。手堅いボリュームにまとめられた佳作のリプレイ。プレイヤーにかなりの自由が許されたルールと世界観のため、各所で起こるPCの疾走をうまくGMが裁いていく様が面白いです。新型コロナの中、TRPGをプレイしてリプレイにすることの困難さもリアルに感じられ、時節的な要素もあります。
【とりあえず2021年回顧】
新型コロナに伴う仕事のストレスの影響か、勤め人としての思いが照射された作品や細かいことを考えずに楽しめる作品が上位に並んでしまいました。例年、このようなコメントは時代小説に書いていたのですが。ラノベは良質のティッシュのようなものであり、読み捨てとして消費されていく運命にある小説群です。決してけなしているわけでなく、批評性・作家性の高い作品が必要な一方で、ストレス解消のために肩肘の力を抜いて楽しめるエンタテイメントもまた必要なのです。