毎度毎度の遅ればせですが、3月19日に一部の界隈をにぎやかした衝撃的なニュースに関するテキストです。既にタイトルの不穏な文言でお分かりの向きもあるかと思いますが、今回のテキストには濃厚な小児性愛の成分が含まれております。そのような趣向を許容しない向きはこの先をお読みにならないよう、お願いします。
【このご時世に・・・正気か?】
アニメ化決定!!
— メリー・ジェーン公式 (@infomaryjane) 2020年3月19日
「はじめてのおるすばん」
原作はPCゲーム界に新たな地平を開いた作品です。
2020年内発売を予定しております。
最新情報はこちらで公開していきます。 pic.twitter.com/AzSl7NHDlE
「はじめてのおるすばん」のアニメ化にご興味を持っていただいてありがとうございます。
— メリー・ジェーン公式 (@infomaryjane) 2020年3月19日
トレンド入りしない程度に盛り上がって頂いているところに紳士のたしなみを感じます。
例の事件で、エロゲーでロリ系が大自粛していた時期に発売され「おいおい、コレ大丈夫なのかよ」と思いました。
— 輝砂川 流@ミリシタ (@Rui_Kisagawa) 2020年3月19日
今、ロリエロゲーが脈々と続いているのは、はじるすのおかげだと言っても過言では無い、気がする。
【社会】小2女児を拉致監禁した無職コンビに実刑判決−栃木・黒磯
3月19日、オタクヒエラルキーの底辺に位置する、ロリ&ペド・オタの界隈に吉報が駆け巡りました。かの伝説のギャルゲー『はじめてのおるすばん』が発売から19年の時を経て、ついにアニメ化されるというのです! 年季の入ったロリ&ペド・オタとしては歓喜に沸きましたし、深い感慨に浸るところです。同時に、このご時世に・・・正気か? という気にもなりましたが、WEB上での反響を見るに、やはり期待度は高いようですね。それに、2010年代前半に表現規制問題などで下火だったロリゲーですが、2020年は『まいてつLast Run!!』発売、スタジオメビウス再始動、そして『はじるす』アニメ化など、次々に大きなニュースが飛び込んできています。ロリータコミックにおける一部のインピオの活性化などとも併せ、ロリ&ペド・オタにとって2020年は幸福な1年となりそうです。
Lose@「まいてつLast Run!!」1月31日予約開始! (@news_lose) | Twitter
スタジオメビウス (@studio_mebius) | Twitter
それでは、朗報のついでに、『はじるす』および〈はじめて〉シリーズについて振り返るとともに、極私的にロリゲーの歴史、というか極私的に愛でてきた幼女たちの歴史について偏った視点から軽くまとめてみたいと思います。
【1990年代のギャルゲーとロリ&ペド・オタ事情、というより極私的な幼女消費事情】
〈はじめて〉シリーズのレビューの前に、『はじるす』発売前夜、1990年代について極私的に振り返っておきたいと思います。ギャルゲー自体は1980年代初頭のパソコン登場時からあり、1990年代初頭には既にPC98で現在にもつながる様々な展開がされていました。ウィンドウズ95登場以後、1995・96年ごろは、PC98とウィンドウズで市場を分け合う形になり、1990年代を代表するゲームが次々と登場した、第1次のギャルゲー隆盛期でした。私がギャルゲーを始めたのも1990年代半ばくらいで、学生ながらなけなしの金をはたいて2つの流れを追っていました。ギャルゲー全体の歴史を紐解くのはこのテキストの本旨ではないので、これくらいにしましょう。
1990年代はギャルゲーにおいて「ロリキャラ」はいても「ロリゲー」というジャンルは確立されていなかったように思います。ちびっこのキャラはいても、設定に何らかのこじつけを入れてちんちんをぶち込んでいましたので、当時はまだちびっことSEXすることについて業界内で何らかの倫理的留保(??)が働いていたのでしょう。
それをぶっ壊したのが『はじるす』だ! 『はじるす』こそがロリゲーのパイオニアだ! 確かにその通りですが、もう少し視野を広げてみましょう。ロリータという表象の扱いについていえば、1990年代のギャルゲーというジャンルは恐らく後進の部類だったと思います。ロリータコミックでは小学生に野太いペニスをぶち込むSEXは昔からごく当たり前のものであり、少なくとも私が読み始めてから30年近く、そのフォーマットは変わっていません。また、1998年の児童ポルノ法施行前は、美少女ヌード写真集や雑誌、あるいはロリータの写真・コミック・小説などを寄せ集めた雑誌は書店にごく普通に並んでいました。アニメショップでも少女ヌード写真集のコーナーがありました。2次元でも3次元でも子供の裸というのはごく普通に摂取できる表象であり(??)、少女たちを愛でるのに現在のような強い背徳感はありませんでした(??)。ロリコン文化という視座に立てば、1990年代は2次元と3次元が混在した最後の時代でした。
例えば、私もしゃれでよく引用している「Yes,ロリータ。No,タッチ」ですが、
YESロリータNOタッチとは (イエスロリータノータッチとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
YES!ロリータNO!タッチ (いえすろりーたのーたっち)とは【ピクシブ百科事典】
YES!ショタNO!タッチ (いえすしょたのーたっち)とは【ピクシブ百科事典】
スローガン化してはいなかったものの、「見て愛でるだけだ! 手を出すな!」というのは1990年代のロリコン雑誌にもよく見られたフレーズであり、目新しいものではありません。結局、オタクのやっていることは何十年の時を経ても本質的には変わっていないと思います。
しかし、1998年に天下の悪法・児童ポルノ法が施行されて以降、ロリコン界隈の雲行きはにわかに怪しくなりました。正確には施行前夜の1996・1997年ごろからですが。児ポ法を恐れたため少女ヌード雑誌や写真集が一斉に廃刊になり、あるいは普通のエロ本になり、書店からも少女ヌードが消え、3次元が速やかに駆逐されました。チャイルドポルノが人権侵害であり子供たちの心を傷つけるのはもちろん間違いないです。しかし、全てがそうだとはいえませんし、少女ヌードの文化的意義はあったはずです。しかし、それについて論じるのはこのテキストの本旨ではないので、とりあえず置いておきます。
2次元でも20世紀末から21世紀初頭にかけてはロリータコミックにおけるロリ表現がやや下火になったため、幼分の渇きがなかなか満たされずに不満を抱えていた記憶があります。同人誌や同人ゲームのロリは供給されていましたし、アニメのロリキャラを妄想の対象にするという手はありましたが、やはり商業ベースのロリ&ペドが安定的に供給されてナンボです。国からの圧力によって表現が抑制された、小児性愛者受難の時期だったといえるでしょう。
【最初はひどかったんですよねえ】
http://zero.product.co.jp/products/rusu/
はじめてのおるすばん - アニヲタWiki(仮) - アットウィキ
http://type-98.lix.jp/98/kako/hajirusu.htm
しかし、そんな極私的幼分枯渇の時期に核弾頭のごとく撃ち込まれたのが、『はじるす』でした。私を含めた多くのオタクが萌え狂い、ギャルゲーにロリゲーというサブジャンルが確立され、『はじるす』を求めて『はじるす』難民が大量発生するという始末。私はあらかじめ予約しておいたので大丈夫でしたが。その影響はオタク界隈にとどまらず、おいやばいものがあるぞということで一般紙でも取り上げられ、ついには何をとち狂ったのかベネチア・ビエンナーレにまで進出する始末。
おたく:人格=空間=都市 ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展-日本館 出展フィギュア付きカタログ ([特装版コミック])
- 作者:国際交流基金
- 発売日: 2004/09/30
- メディア: ペーパーバック
私は大学院にいたり海外にいたりした時期で、「日本にはどうして幼い顔をしたアニメの女の子がこんなに多いの?」とよく聞かれました。さすがにビエンナーレ展示のネタ元の1つが18禁のロリゲーだということは言えないので、「小児性愛者がいっぱいいるからだよ」とオブラートにくるんだ答え方をするよう心がけておりました。
『はじるす』はちびっこに何の躊躇も設定的な留保もなくストレートにペニスを打ち込み、それまでのギャルゲーが逡巡していた壁をあっさりと乗り越え、前述のようにロリゲーというサブジャンルを確立しました。また、幼女と大人の男と野太いペニスというフォーマット、それはやはり前述のようにロリータコミックの基本ですが、をギャルゲーが取り入れたことで、ロリコン文化の主戦場にギャルゲーが躍り出ました。発売から20年近く経ってもこうして『はじるす』が息づいていることを考えても、衝撃的で記念碑的で伝説的な作品であることに間違いはありません。1つのゲームが表象の扱いを大きく塗り替えたのですから、文化的な破壊力・影響力においてギャルゲー史上に残る作品だといえるでしょう。
【〈はじめて〉シリーズレビュー】
さて、『はじるす』のヒットに伴い、〈はじめて〉シリーズが誕生し、間を置かず第2作が登場しました。
http://zero.product.co.jp/products/oisyasan/
はじめてのおいしゃさんとは (ハジメテノオイシャサンとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
はい、『はじいしゃ』であります。前作では主人公が家庭教師のお兄さんだったのが若いお医者さんとなり、医療用具を使った変態プレイが可能となりました。また、前作でヒロインの観月さおり・しおりが共に非処女であったことが批判されたためか(??)、『はじいしゃ』ではヒロインの朝倉ゆうな・まいなともに処女であり、貫通シーンが複数設けられています。また、さおり・しおりの初体験も収録されており、前作の補完もきちんと果たしました。前作のインパクトを引き継ぎ、かつ変態性が増したことで、続編として文句のない仕上がりになりました。『はじるす』のアニメ円盤が売れたら、『はじいしゃ』のアニメ化も是非よろしくお願いします。
…つまりコレが売れれば「お医者さん」もあるって事ですか!
— RAVEN/延期の春例大祭Z16a (@RAVEN06590) 2020年3月19日
売れ行き次第ではおいしゃさんも……
— やわらかい裏側 (@urayawa) 2020年3月19日
・ななみとこのみのおしえてA・B・C
ななみとこのみのおしえてa・b・cとは (ナナミトコノミノオシエテエービーシーとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
ななみとこのみのおしえてA・B・C 美少女ゲームのレビュー | Anime・in
『はじるす』以降、ギャルゲーにおけるロリの堰が破られ、雨後の筍のように2004年あたりまでロリゲーが乱造されました。
・・・話を『ななこの』に戻しましょう。
そんな流れの中、本家としても続編を出さざるを得なかったのか、2003年末に発売されたのが『ななこの』です。発売の報を聞いたときは「6人丼だぜ、ひゃっほう」と驚喜しまいたが、残念ながら攻略対象のヒロインは西村ななみ・このみ姉妹のみでした。一応「さおしお」「ゆうまい」にもHシーンはありますが。前2作とは異なり、『ななこの』の変態性は薄く、テキストの密度もそれほどではなく、そもそもロリゲーという衝撃自体がすでに薄くなっていたためか、明るくライトなエロに徹した作品になりました。主人公は『はじるす』の原点に還って家庭教師のお兄さんです。しかし、ヒロインが2人とも成績が悪いので優しく接していると落第してしまうという、前2作とは異なるオチもついています。とはいえ、そこは〈はじめて〉シリーズ。かわいい無垢な双子がおにいちゃんの教育で性的にすくすくと成長する姿を愛でていけばよいのです。他のロリゲーに比べてロリ濃度でやや見劣りした感はありましたが、〈はじめて〉第3作としては十分な出来だったと思います。
・・・ここまでは良かったんです、ここまでは。
はじめてのおてつだいとは (ハジメテノオテツダイとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
はじめてのおてつだい ErogameScape -エロゲー批評空間-
2005年末、〈はじめて〉シリーズ第4作として発売されたのが『はじおて』でした。3組の双子が登場ということで大きな期待を持って臨んだプレイは、残念ながら落胆の連続でした。過去3作のウリであったHシーンの濃密さが薄くなり、キャラの掘り下げもいまいち。前3作のヒロインは申し訳程度に出てきますがただのチョイ役。メイド喫茶経営というゲーム性を中途半端に加えたことで、完全に前3作のインパクトを失いました。『はじるす』の続編というにはあまりの普通さ。結局、〈はじめて〉シリーズは『はじおて』で終了し、続編が作られることはありませんでした。まあ、スタジオメビウスのスタッフが独立したという経緯はあったにせよ、あんまりでしたね。
「ロリゲーにシナリオは不要」という私の考えは、そもそも〈はじめて〉シリーズに起因している気がします。2010年代、『ものべの』『まいてつ』という名作の出現で、その浅はかな考えは打ち砕かれることになるのですが、それはまた別のテキストにしたいと思います。