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『雨を呼ぶ灯台』短評

 今回のレビューは先月新装版が出たマーサ・ナカムラの詩集です。

  

雨をよぶ灯台 新装版

雨をよぶ灯台 新装版

 

  前作『狸の匣』同様、プリミティヴな言語感覚が維持された、むき出しの感情をぶつけてくる詩集。へたなリリックや読解技法を用いず、読者は自分の琴線をあけ開いて言葉の群れを待ち受けるべき。散文詩のごとく綴られた物語は変幻していき、最後には作者も読者も界面となって消失してしまうような感。不可思議な言語が織りなす異空間、異なもの。とらえがたい本質がまた心地いいです。呪文にかかったように没入できる読書の快楽。好詩集。