2019極私的回顧その18 コミック(一般)
極私的回顧第18弾はコミック(一般)です。例年通りのお断りですが、ジャンル全体を俯瞰するほどの読書量がありませんので、ジャンル全体のまとめは行わず、ベスト5を挙げるだけにとどめます。また、こちらもいつものお断りですが、テキスト作成に『このマンガがすごい!』およびamazonほか各種レビューを参照しています。
2018極私的回顧その12 コミック(一般) - otomeguの定点観測所(再開)
2017年極私的回顧その12 コミック(一般) - otomeguの定点観測所(再開)
2016極私的回顧その12 コミック(一般) - otomeguの定点観測所(再開)
【マイベスト5】
1、かげきしょうじょ‼
不覚ながら2019年まで未読でした。未婚の女性だけで構成される「紅華歌劇団」の予科生たちを主人公に、演劇を通じて成長していく少女たちを描いた作品です。芝居に打ち込む真剣さ、適度なコミカル、少女たちの熱い友情、役を逃した少女へのあたたかなまなざしなど、瑞々しく骨太で繊細で王道のたおやかな成長劇です。極私的には劇場版アニメでの映像化を希望します。
2、僕の心のやばいヤツ
桜井のりお最新作「僕の心のヤバイやつ」公式 (@boku__yaba) | Twitter
僕の心のヤバイやつ 【祝・このマン3位&まさかの実写化】 | 桜井のりお |マンガクロス 秋田書店のマンガを無料で試し読み
『みつどもえ』の桜井のりお最新作。『すごい』のレビューと重なりますが、とにかくエモくて甘酸っぱい。そして適度にエロい。日常のふとした仕草にきゅんきゅんする少年少女の姿はやはりそそるものがあります。桜井のりおは熱情や劣情の見せ方がすごくうまい。思春期の妄想ににやにやしながら今後も読んでいくことにします。
3、ヴィーヴル洋裁店~キヌヨとハリエット~
エンターテイメントの革の話をしよう!:龍の皮を鞣して革にする、という漫画 ヴィーヴル洋裁店 | phoenix blog
祖母に代わって店頭に立って服を仕立てる、主人公・キヌヨと妖精・ハリエットの物語。ものづくりファンタジーというニッチな作品です。私は洋裁には詳しくないので専門的なところは分かりませんが、ドラゴンの皮をなめして革に仕立てたり、アラクネの糸をウエディングドレスに仕立てたりなど、ファンタジー世界における服の仕立てを細部まで具体的に描写しています。
4、ロボ・サピエンス前史
数十万年に渡る長大な時間軸で人間とロボットの関係性を多様な側面で描いた、骨太なSFコミックです。勤勉で他者を思いやりコミュニケーションに長けたロボットたちに対し、人間は自分たちの愚行をいつまでたっても顧みることなく傲慢で、二者の哀しい対比が印象的です。人間とロボットの未来、さらにその先の未来に向けて、示唆と思惟に富んだ良作だといえるでしょう。
5、少女のスカートはよくゆれる
少女たちが思春期に抱える屈折した性への思い、あるいは様々な憧れや衝動や欲望や怖れや友情や孤独や倒錯などを情緒的なタッチで描いた短編集です。心情だけでなく身体性にまで踏み込み、赤裸々な描写が多いですが、透明感のある絵柄が作品に独特の清涼感を与えています。