2020極私的回顧その18 コミック(一般)
極私的回顧第18弾はコミック(一般)です。例年通りのお断りですが、ジャンル全体を俯瞰するほどの読書量がありませんので、ジャンル全体のまとめは行わず、ベスト5を挙げるだけにとどめます。また、こちらもいつものお断りですが、テキスト作成に『このマンガがすごい!』およびamazonほか各種レビューを参照しています。
なお、本年は一般部門であるにもかかわらず18禁及び小児性愛的要素が含まれますので、お読みになる方はご注意ください。
2019極私的回顧その18 コミック(一般) - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)
2018極私的回顧その12 コミック(一般) - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)
2017年極私的回顧その12 コミック(一般) - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)
2016極私的回顧その12 コミック(一般) - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)
【マイベスト5】
1、田舎(山本直樹)
純然たるロリエロ漫画ですが、山本直樹なので一般部門に持ってきました。1位にしたのは私の小児性愛的趣味の反映です。すみません。
宣伝文句には「結論」「新境地」ともありましたが、山本直樹の出自を考えれば「原点回帰」とするのが妥当でしょう。御年61歳だそうですが、まだまだ性欲が健在で壮健のようで何よりです。お互いの陰毛をそってつるつるになった身体を重ね合う描写は、余計な要素がそぎ落とされた純度の高いみずみずしいエロです。少年少女がひたすら行為に没入するだけというシンプルな構成は、ロリエロに慣れていない一般の方にとっては十分麻薬的で背徳的でしょう。恒常的に子供の裸や子供のセックスを消費しており、この作品に爽快感や清々しさを覚えてしまった私は、既に人間として終わっているのでしょう。
2、葬送のフリーレン
長命の存在が定命の人間について見つめ・語るファンタジーはいくつか先行作品がありますが、その系譜に照らしても恐らく良作といえる作品でしょう。過去のなにげない会話やしぐさが伏線として回収され、主人公の琴線を揺らす繊細な描写が見事。淡々とした構成の作品ながら、過去の悲しさや切なさを堆積させて生きねばならないエルフの苦しさが、恐ろしいほどのカタルシスを醸し出しています。
3、無能の鷹
うちの会社にもいます。仕事ができるように見えて、何もできない。周囲の指示やアドバイスを理解せず、努力を放棄していて成長しない。それでもなぜか会社に存在し続ける不思議な人。この作品のように周囲が上手くフォローしてあげて、本人が憎めないキャラで、ご都合主義的に物事が進んでくれれば、何の問題もありません。しかし、現実にはそううまくいくはずもなく、研修担当として頭を抱えることも多いのですが。
完全に私事です。すみません。
4、ダンピアのおいしい冒険
英国人・ダンピアが私掠船に乗って世界を巡り、異形のものを食べまくる物語。凡百のグルメ漫画ではなく、主人公の視座は博物学的で知的好奇心に満ちており、読者を異文化の探求や接触へと巧みに誘います。17世紀の偏った博物学的知識が作中にばらまかれており、現代とのずれを愉しむのも一興でしょう。
5、戦争は女の顔をしていない
『戦争は女の顔をしていない』試し読みPV(CV:日笠陽子ほか)
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ - Wikipedia
ノーベル文学賞受賞のジャーナリスト、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチによる、第2次世界大戦に従軍した女性たちのインタビューをコミカライズした作品です。女性としての生理的・身体的な特徴ゆえに戦場で抱える不快や困難、女性としての尊厳を容赦なく傷つけられる戦場の理不尽、戦後も続く心の傷など、痛々しい描写が容赦なく綴られています。それでも兵士として戦場に立ち続ける彼女たちの姿は、畏敬の念を抱かせるほどです。コミック化の難易度が極めて高いであろう原作に挑戦し、そして成功した労作としても感銘を覚える作品です。