2020極私的回顧その2 マラソン・長距離(女子)
書けるうちに書いておかないと。続いてはマラソン・長距離の女子のまとめにいきます。
2019極私的回顧その2 マラソン・長距離(女子) - otomeguの定点観測所(再開)
2018極私的回顧《スポーツ》② マラソン・長距離(女子) - otomeguの定点観測所(再開)
2017年極私的回顧《スポーツ》② マラソン・長距離(女子) - otomeguの定点観測所(再開)
2016極私的回顧プレ⑤ マラソン・長距離(女子) - otomeguの定点観測所(再開)
まず、女子マラソンについては男子マラソンと同じです。新型コロナの影響で東京五輪が中止となり、日本選手が参加する大きな大会の開催もなかったので、特段まとめることはありません。
東京五輪マラソン日本代表・・・と新谷仁美の問題提起 - otomeguの定点観測所(再開)
記録的には前田と一山が女子マラソンの代表の中では期待できるレベルにあるのでしょうが、ケニア、エチオピア、西アジアを中心とする選手たちの中にどこまで割っていけるのか。男子同様、なんとか入賞を目指すレベルと考えておいた方がいいのでしょう。そして、大迫とは違い、WMMなど大きな大会の経験値が少ない選手たちなので、どこまでやれるのか。それでもなお、近年では最も記録の揃った選手たちが並びました。男子よりは期待の持てるメンバーだと思います。日本の女子マラソンの復権に向けて、まずは入賞を確保してほしいところです。
その先に、サブ20の選手達を再び複数揃えて層を厚くしていくこと。世界と戦うといえるレベルにはまだまだ先がありますね。
東京五輪は高温・高湿度の環境で日本人有利になる・・・という甘い見通しには、極私的には異論を唱えたいところです。どうしても日本陸上の記憶としては猛暑の消耗戦を制した1991年東京世界陸上の谷口浩美を思い出したくなりますが、
谷口浩美 ’91世界陸上東京大会男子マラソン 国立競技場のセンターポールに日の丸を掲げた唯一のレジェンド
2007年の大阪世界陸上では、気候が日本に有利と言われながら、蓋を開けてみれば、男女マラソンを除いて日本勢は総崩れになりました。
asahi.com:「最強日本」評判倒れ 体調異変の選手が続出 - 世界陸上競技選手権大阪大会
室伏も末續も次々惨敗 「スター意識」があだ?世界陸上: J-CAST ニュース【全文表示】
「日本人は暑さに強い」「地元のアドバンテージを生かす」という短絡的な発想では、やはり通用しないのだと思います。だから奇策であるMGCには反対していたんですよね。トラックのタイムを高め、そこからの循環でマラソンのタイムを高め、層を厚くして正面から戦う以外に強化の道程などありえません。
女子マラソンがかつての栄光を取り戻すには、来年の東京五輪はあくまで通過点として、まずは日本記録の更新とサブ20の選手の層を厚くしていくことを目指すこと。愚直にそこに取り組むしかないと思います。
【新谷仁美に栄光を!】
さて、男子同様の明るい話題に切り替えましょう。毎度毎度の遅ればせですが、日本の長距離のエース・新谷仁美の奮闘が、ようやく1つ報われました。
【第104回日本選手権長距離】女子10000m優勝 新谷仁美(積水化学・東京)コメント:日本陸上競技連盟公式サイト
【第104回日本選手権長距離】女子5000m優勝 田中希実(豊田織機TC・兵庫)コメント:日本陸上競技連盟公式サイト
【第104回日本選手権長距離】総括会見:日本陸上競技連盟公式サイト
【第104回日本選手権長距離】東京五輪日本代表内定選手会見:日本陸上競技連盟公式サイト
【第104回日本選手権長距離】東京オリンピック日本代表内定選手ハイライト&インタビュー/相澤晃(旭化成)、田中希実(豊田織機TC)、新谷仁美(積水化学)
【第104回日本選手権長距離】東京オリンピック日本代表内定選手会見ダイジェスト/相澤晃(旭化成)、田中希実(豊田織機TC)、新谷仁美(積水化学)
当ブログで何度も書いてきたことですが、現在の日本陸上の長距離トラックを支えているのは女子選手です。そして、そのエースとしてリアルに世界と戦うストイックな戦いを続けてきたのが新谷仁美です。男子のような絵空事ではなく、繰り返し世界の舞台を経験して世界のレベルを体感し、一度は競技生活から退きながらも、それでもなおプロフェッショナルとして戦ってきた彼女の姿勢。精神的に円熟し、最も強い時期に入ってきたような印象があります。
【壮絶】新旧女王、三つ巴の死闘!ラスト600Ⅿから衝撃のドラマが…【日本選手権 女子 10000Ⅿ】
昨年の日本選手権ではこんな感じでしたから、この1年がいかに大きかったかが分かりますね。
「私はお金で動く女」「たるんでる私を殴って」東京五輪代表内定した元OL女子陸上選手の痛快すぎるプロ根性 長期ブランク後、快走できた理由 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
帰ってきた天才・新谷仁美が語った、高速化する1万mで世界と戦うための“逆転の発想”とは【日本新】 - 陸上 - Number Web - ナンバー
「不謹慎かも知れないけど…」レース前の新谷仁美の姿が泣けた理由…29年ぶりの陸上「神回」を振り返る - 陸上 - Number Web - ナンバー
12月という時期の開催、そして好条件の後押しがあったとはいえ、2位の一山以外を周回遅れにするという圧巻のレース。そして30分20秒44という大幅な記録更新。これぞエースの走りというあまりにも痛快なレース展開、女子もようやく凍結していた記録が動き始めたという感慨。それらもありますが、何よりも苦闘を続けてきた新谷仁美という選手にようやくティアラが1つ渡った。それに対する安堵の気持ちが観戦していて最も大きかったです。
これで東京五輪でのメダル獲得に対するプレッシャーは大きくなってくると思いますが、新谷本人はメダル獲得を当然の目標として今までやってきましたし、数々の大舞台で戦い、辛酸をなめてきた選手です。それらをすべてぶつける東京五輪になるはずです。今度こそリアルに新谷がメダルを目指す集団の中で戦い、表彰台に立つ姿を観たいと思います。
新谷だけでなく、5000m代表に内定した田中をはじめ、女子は各種目で一定の戦える選手たちが揃ってくるはずです。来年の東京の舞台で彼女たちが躍動し、新谷のメダルと複数の入賞者が出る状況。そこまでいけば痛快なのですが、可能性はゼロではないと思います。