レトロゲームやってみた②~新世代ロボット戦記ブレイブサーガ1&2~
レトロゲームレビュー第2弾は『ブレイブサーガ1・2』のレビューです。第2弾と称していますが、これでおしまいです。すみません。なお、一部性的に過激かもしれない記述がございます。お読みの際はご注意ください。また、『ブレイブサーガ 新章 アスタリア』と『新世紀勇者大戦』については、以下では触れていません。
【勇者シリーズ】
1990年代、土曜の夕方といえば〈勇者シリーズ〉でした。
1980年代までのロボットアニメの主流だったリアルロボット、および『ミクロマン』から派生した〈トランスフォーマー〉人格を有した変形ロボット、この2つのロボットアニメの流れを融合させ、1990年代の新たなロボットアニメとしてサンライズが打ち出したのが〈勇者シリーズ〉でした。
Wikipediaにもありますが、本来のターゲットは3~5歳の男児だったため、勧善懲悪のはっきりしたストーリー、自動車や新幹線など男の子に身近で人気のある乗り物がロボットに変形すること、ロボットが玩具展開されたこと、勇気という理解しやすいファクター、主人公の少年とロボットが友情や信頼関係を築くことなど、男の子たちを分かりやすくひきつけるための要素が詰め込まれていました。この基本構造は『エクスカイザー』から『ガオガイガー』まで一応は保たれていたと思います。
しかし、男児向けだろうが女児向けだろうがおかまいなく、我々恐るべき子供たちおおきなおともだちはアニメを摂取します。おおきなおともだちは熱狂的に〈勇者シリーズ〉を愛でていました。シリーズ最後の『ダグオン』『ガオガイガー』は、おおきなおともだちにはうけたのに、男児には不評だったそうです。
そもそも、ストレートに男児向けとして作られていたのは『ダ・ガーン』までで、『マイトガイン』以降はおおきなおともだちを意識したネタを仕込んでいたとしか思えません。
『ジェイデッカー』のショタ万歳・勇太きゅん。デッカードと勇太きゅんの愛のコラボは同人誌などでいろいろネタになっていました。
『ダグオン』は腐のおねーさま方を意識しているとしか思えませんし。
『ガオガイガー』は男児に理解できないであろうSF設定をこれでもかこれでもかと詰め込んでいましたし。
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〈勇者シリーズ〉は最初10年計画だと打ち出されましたが、残念ながら8作目の『ガオガイガー』でテレビシリーズは打ち切りとなりました。しかし、1990年代のサンライズのロボットアニメを語る際、〈エルドランシリーズ〉と並んで〈勇者シリーズ〉が重要であることは間違いありません。
【勇者聖戦バーンガーン】
テレビシリーズ8作品に続いて、PS〈ブレイブサーガ〉のために作られた勇者シリーズ9作目が『バーンガーン』です。
勇者聖戦バーンガーンとは (ユウシャセイセンバーンガーンとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
ロボットのデザインはかっこいいと思いますし、主人公は愛らしいオトコノコですし、聖勇者や絶対悪「ナイトメア」などの設定もしっかりできていると思います。
しかし、上のリンク先にもある通り、『バーンガーン』いかんせんあくまで他の勇者シリーズ作品を接続するための狂言回し的な作品でした。そのため、『バーンガーン』自体について掘り下げるための尺が足りなかったという印象でした。例えば、物語上の役割が中途半端な脇役(ひみつ探偵、マグナ、フラッシュなど)がいましたし、敵幹部カルラが実は聖勇者ステラだったという設定はうまく活用されませんでしたし。
できればOVA化などで単体での展開をしてほしかったのですが、さすがに無理でした。
【新世代ロボット戦記ブレイブサーガ】
では、ゲーム本体のレビューにまいりましょう。まずは『ブレイブサーガ1』。この作品が制作されたとき『ガオガイガー』はまだ放映中で完結していなかったため、残念ながら『ガオガイガー』は参戦していません。『エクスカイザー』から『ダグオン』までのテレビシリーズ7作品、および『バーンガーン』が参戦しています。そして、『バーンガーン』の主人公・芹沢瞬兵の精神的成長を促すサブシナリオに、『ボトムズ』『ダグラム』『ガリアン』の3作品が登場します。
『ブレイブサーガ』は要するに〈勇者シリーズ〉版スパロボであり、〈勇者シリーズ〉ファン向けのファンアイテムです。ファンアイテムとして考えると『1』は非常にいい出来です。システム周りや戦闘シーンなどはスパロボに比べると粗いですが、それは大事なことではありません。あくまでこのゲームの肝は、各作品の勇者をまんべんなく盛り立てることができるか、およびきちんと勇者が大集合して熱く戦うか、という二点につきます。
まず、各テレビ作品の勇者をまんべんなく盛り立てることには成功しています。『バーンガーン』のラスボス・グランダークの力によって、過去の勇者シリーズの悪役がすべて復活してきたという設定です。懐かしいキャラがほぼみんな出てくるので、プレイしていて泣きそうになりました。特にガイスターが何回も登場してくるのは、『エクスカイザー』を観ていた人間にとってはうれしい限りです。ガイスターは製作スタッフに愛されていたようですね。
また、異なる作品のキャタクター同士の会話がよく練り込まれていて、ほとんど違和感なくコラボしています。制作スタッフが各作品のことを本当によく考え、バランスに配慮したことが分かります。
次いで、勇者の大集合についてもよく配慮されています。各テレビ作品ごとのエピソードがバランスよく配置されています。また、各テレビ作品の主要ロボットをきちんと成長させておかないと、クリアがかなり大変になるようにできています。ラスボス・グランダーク戦では各作品の最強ロボットすべてが強制出動になります。グランダーク戦の前には、ダイノガイストやオーボスなど各テレビ作品のラスボスとの決戦が待ち構えています。このとき、ガイスター戦なら『エクスカイザー』のロボットたちが、オーボス戦なら『ダ・ガーン』のロボットたちが強制出撃となります。レベル上げを怠った作品があると、グランダーク戦の前に大苦戦を強いられます。
惜しむらくは、やはり『ガオガイガー』が登場しないことです。ファンアイテムとして非常にいい出来だっただけに、画竜点睛を欠いたことが残念でした。『ガオガイガー』も加わった続編をかなり期待して待っていたのですが・・・。
【ブレイブサーガ2】
残念ながら、『ブレイブサーガ2』はファンアイテムとして不満の残る作品になってしまいました。
設定はいいです。新たに登場した『2』オリジナルの少年・シズマと彼が乗るヴァリオンシリーズはかっこいいと思います。また、新たな敵・魔王バルドーも強大で凶悪でいい感じです。それになんといっても、『ガオガイガー』の参戦によって作品全体がやたら熱くなっています。魔王バルドーと戦うシナリオとは別に、ゾンダーや原種と戦うシナリオも同時並行で進んでいくので、これもファンにはうれしい限りです。
ストーリーは、〈勇者シリーズ〉定型の勧善懲悪にかわって、「命とは何か」について問うシビアな物語となっています。また、勇者たちの掲げる正義についても疑問が呈され、絶対的な正義など存在しないことが示されます。この変更については賛否両論あったと記憶していますが、私は楽しめました。瞬兵が正義について語るとき、哲学的なセリフを口にするのにはかなり違和感があるのですが、まあぎりぎりOKとしましょう。
また、前作に比べると各作品の小ネタも増量されています。
例えば、『ゴルドラン』33話の子持ち勇者・ドランのネタ。奥さんのマリアと子供たちがちゃんと登場します。子供たちはユニットとして戦闘で使えます。
また、同じく『ゴルドラン』の、最終回で「イーザックブラザーズ」としてシリアスがぶっ壊れる場面も、ちゃんと出てきます。
では、何が問題なのかというと、『1』では成功していた「勇者大集合!」について、『2』ではテレビ作品の勇者、特に初期作品への配慮が大きく欠けています。
ラスボス・バルドー戦で出撃可能なユニットは8体です。『バーンガーン』のロボットが複数強制出撃するため、必然的に、他の作品から出撃できるユニットは限定されます。能力的に『エクスカイザー』『ファイバード』『ダ・ガーン』のロボットたちは冷遇されているので、結局、ゲーム終盤ではこれら3作品のロボットたちを全然使わないことになります。好きな勇者ロボを育てるということなんでしょうけれど、やはり『1』のように全作品が出撃できるようにしてほしかったと思います。
また、『ボトムズ』『ダグラム』『ガリアン』の3作品が正式参戦となり、キリコやクリン、ジョルディたちと一緒に旅ができます。ところが、『ボトムズ』のAT(アーマードトルーパー)や『ダグラム』のコンバットアーマーのHPが低すぎて、メインの戦闘ではほとんど使い物になりません。なんのために彼らを連れていくんでしょう。
そして、これが一番問題なんですが、エンディングがしょぼすぎます。ムービーが一切流れず、ストーリー的なまとめもなく、数枚の絵を流しておしまいでした。50時間以上プレイしてきたのに、最後に徒労感に襲われてしまいました。なんだかなー。
【まとめ】
ということで、改めてプレイしてみて、『1』と『2』で大きく感想が異なる結果となりました。『2』は無理やりPSで出すのではなく、もう少しいろいろ時間をかけてからPS2で出したほうがよかった気がしますね。まあ、20年近く前のゲームに今さら文句をつけてもしょうがないですし、昔プレイしたときのことをほとんど忘れていた私が悪いんですが・・・。