otomeguの定点観測所(再開)

文芸評論・表象文化論・現代思想・クィア文化・社会科・国語表現・科学コミュニケーション・初等数理・スポーツ観戦・お酒・料理【性的に過激な記事あり】

2021極私的回顧その18 コミック(一般)

 極私的回顧第18弾はコミック(一般)です。例年通りのお断りですが、ジャンル全体を俯瞰するほどの読書量がありませんので、ジャンル全体のまとめは行わず、ベスト5を挙げるだけにとどめます。また、こちらもいつものお断りですが、テキスト作成に『このマンガがすごい!』およびamazonほか各種レビューを参照しています。

2020極私的回顧その18 コミック(一般) - otomeguの定点観測所(再開)

2019極私的回顧その18 コミック(一般) - otomeguの定点観測所(再開)

2018極私的回顧その12 コミック(一般) - otomeguの定点観測所(再開)

2017年極私的回顧その12 コミック(一般) - otomeguの定点観測所(再開)

2016極私的回顧その12 コミック(一般) - otomeguの定点観測所(再開)

 

 

【マイベスト5】

1、ウマ娘 シンデレラグレイ

 今や国民的コンテンツとなってしまった(??)ウマ娘。様々な魅力があれど、やはりその原点はアニメ1期で描かれたスポ根ものとしての比熱の高さ。そして、オグリキャップを主人公にしたこのシリーズが、ウマ娘の全コンテンツの中で最も熱い、とにかく熱いシリーズだと思います。極私的にはタマモクロスの活躍がうれしいところ。競馬ファンとしても懐かしの記憶をかき立てられた、このシリーズを、2021年の1位に推します。

www.youtube.com

www.youtube.com

 

2、ブランクスペース

 女子高生たちのSF(すこし・ふしぎ)なガール・ミーツ・ガール・・・ではなく、念じただけでものを実体化できる能力を使い、思春期の破壊衝動を満たしていくというサスペンス。凶器の製作は人体生成へと至り、やがて町中で怪現象が起こり始め、と展開が広がっていきます。まだ途上なので真相が明らかになるのはこれからですが、空白をうまく使った創造物の表現、どんどんずれていく青春の痛みや焦燥感など、サスペンスとしての展開以外にも見どころの多い作品です。

 

3、たそがれにまにあえば 赤井さしみ作品集

 かわいい女の子とクリーチャーとの掛け合いを楽しむショートショート作品集。そこまで風刺はきつくないので肩の力を抜いて読めるはず。鋭利さとポップさが同居した絵柄は興味が分かれるかもしれませんが、ケモミミ好きならいけるでしょう。不勉強ながらTwitterやPixivでチェックしていなかった作家さんですが、新刊で気に入ったのでランクインです。

 

4、不浄を拭うひと

 孤独死などやんごとなき事情で死んだ人たちの家の原状回復を行う仕事、「特殊清掃」を脱サラして行う主人公。現代社会の底辺や闇が映し出されており、重い題材ですが、記号的な絵柄なのでページを繰ることができる感じです。亡くなった人の人生が残る部屋を片付けるのは大変な仕事です。こういう汚れ仕事をしてくれる人たちがいるから社会は回る。自分がきれいごとの仕事ができていることに感謝しなければいけません。

 

5、私にできるすべてのこと

 ゴミ捨て場に捨てられていたヒト型AI・和音と自分勝手な人間たちとの交流を描いた作品です。高度に発達したAIが人間の仕事を奪うということで、AIが毛嫌いされている近未来。エゴむき出しの人間たちと、それでも生きていることを称えて人間に寄り添おうとする和音。池辺葵初のSF作品ですが、繊細な心情描写と暖かく柔らかな空気感という作者の持ち味は健在です。SFとしても問題なく成立している力作です。