多丘歯類の全身骨格化石を小4が発見!
おいおい、ほんとかよ。ニュースの表題を見て驚きました。小4の男の子が発掘体験中に化石を発見したというラッキーもすごいことですが、絶滅哺乳類である多丘歯類の全身化石が日本から出土したことに驚きました。体が小さいから化石に残りにくいうえ、日本は安定した地層が少ないから条件は厳しいはずなんですけれど、よく出てきたなあ。
【多丘歯類の化石発見】
(別の多丘歯類の化石情報)
今回発見された多丘歯類は、ジュラ紀中期ごろに出現し、第三期の中頃・約3500万年前に絶滅したといわれているグループです。現生の単孔類・有袋類・有胎盤類のいずれとも異なる、原始的な哺乳類のグループです。原始的とはいっても、恐竜時代から大絶滅を超えて約1億3000万年の長きにわたって栄えましたから、哺乳類でもっとも繁栄したグループだといっていいでしょう。そのため、多丘歯類は世界中から化石が出てきますが、南半球からは南米の一部を除いて出土していません。日本では今回の発見で4例目の報告だったと思います。
多丘歯類は現在の齧歯類に例えられることが多いグループです。主に樹上生活を営んでいたらしく、復元図は確かに現在のネズミやリスに似ているかもしれません。
多丘歯類の最古の化石発見、中国 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト(画像元)
ただし、現在の齧歯類は前歯として大きな門歯を持っていますが、多丘歯類には門歯がなく、臼歯をもう少し丸くしたような歯が口の中に並んでいて、これらの歯で被子植物などをすりつぶして食べていたといわれています。
また、現在の哺乳類よりも胎盤が小さく、有袋類が産むような未熟児を生んでいたといわれています。有袋類のような育児嚢があったかどうかは不明ですが、恐らく持っていなかったんじゃないでしょうか。
大絶滅を生き延びて第三紀まで反映したグループの一つですが、齧歯類など現生の有胎盤類との競争に敗れ、約3500万年前に絶滅しました。絶滅の原因はまだよく分かっていませんが、胎盤を持った有胎盤類よりも繁殖力に劣っていたために競争に敗れたという説もあります。