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『最弱無敗の神装機竜20』短評

 本日のレビューは昨日発売になった〈最弱無敗〉シリーズ完結編のレビューです。最後まで心地よいクソラノベでした(誉め言葉です)。ネタバレを含むので未読の方はご注意ください。

  

最弱無敗の神装機竜《バハムート》20 (GA文庫)

最弱無敗の神装機竜《バハムート》20 (GA文庫)

  • 作者:明月千里
  • 発売日: 2020/08/06
  • メディア: 文庫
 

  由緒正しきハーレムエンド。ライトノベル・ファンタジーにおいて、王位に就いた主人公がヒロイン全員を嫁にするという展開は過去にもあった類型です。ルクスが祭りでリーシャを除く4人と結ばれた時点で結末の布石は打たれていたわけですが、やっぱりそうなりましたね。19巻ですでに物語としては決着しているので、20巻には嫁たちとの個別イチャイチャエピソードがひたすら詰め込まれました。あまりのバカップルぶりにバールで殴ってやりたくなる衝動も湧いてきましたが、ここまでシリーズを追ってきた読者諸氏にとっては甘々展開は今さらなので問題ないでしょう。ついでに妹と三和音もハーレムに入れてしまえばよかったと思いますが、そこはルクスが良心を持って踏みとどまったようです。

 ライトノベルにおいて記号の順列組合せである安易な作品は今さら言うまでもなく氾濫していますが、この作品も順列組合せの域を出ないクソラノベです(誉め言葉です)。奥手の主人公、記号的ヒロイン、とってつけたような魔法とロボットの設定、異世界の学園、ハーレム物語、ラッキースケベ、糖度の高いラブコメなど、どこかで見たような要素やガジェットばかりでオリジナリティはほとんどありません。しかしそれでも、否、しかしそれゆえに、王道を貫くことで面白くなる。クソラノベに徹することでエンタテイメントの強度を高めることができる。このブログでは何度も書いてきたことですが、〈最弱無敗〉もまた物語とキャラ造型において王道をいくことで強度を高め、一定の支持を受けたシリーズの1つとなりました。フォーマットとは、面白くて読者がついた歴史があるから確立されたものなのです。