2020サイエンスアゴラ感想
毎度毎度の遅ればせで恐縮ですが、今回のテキストは先日の日曜、11月22日に閉幕した今年のサイエンスアゴラのまとめです。
2017サイエンスアゴラレポ - otomeguの定点観測所(再開)
サイエンスアゴラ事務局(公式) (@ScienceAgora) | Twitter
新型コロナ対応のため、今年は全てオンラインでの開催でした。動画がいつでも見られる利便性はありますし、今年の状況ではやむを得ないのですが、やはり生で科学者の方とやりとりしたり、実験やサンプルなどを直接に観ることができるのが、日本最大の科学コミュニケーションのイベントである、サイエンスアゴラの醍醐味です。どうしても物足りなさは感じるところでした。
何とかコロナが収束して、2021年は正常に開催されてほしいものです。
では、つまみ食いの様で恐縮ですが、まだまだ動画で見られる極私的な好企画をいくつか紹介したいと思います。
・西之島の最新情報 -急成長する火山島‐
東大の地震研究所による、今だ噴火と成長が続く西之島新島の情報及び研究のまとめです。8分というコンパクトな時間で情報量も適度にまとめられていて、ジオの視点からは興味深い情報が盛りだくさん。稀有な現象に向き合う科学者の熱量がひしひしと伝わってきます。極私的には生物系の情報も入れてほしかったですが、分野が違うのでやむを得ないですね。
・測量ワークショップ「ナスカの地上絵の再現+伊能忠敬のようなこと」
九州産業大学諫見泰彦研究室による、小中学生向けのワークショップのまとめです。動画前半のナスカの地上絵が面白いですね。ナスカの地上絵は超常現象などではなく、小学校の算数の図形と比の原理さえ分かっていれば、小学生でも描けるのだということを、ワークショップで実際に行っています。
・昆虫食シンポジウム2020@サイエンスアゴラ
11/18昆虫食シンポジウム2020@サイエンスアゴラ開催 – 日本昆虫食協会 The Japan Edible Insects Association
極私的にはサイエンスアゴラで昆虫食のブースは毎年お邪魔しているのですが、サイエンスの面だけでなく、地域振興、栄養や健康面、昆虫食を通じた食育、昆虫に対するマイナス感情をいかに排するか、昆虫食の歴史など、多様な視点が登場してくる、非常に興味深いディスカッションでした。人類の人口がさらに増加して食料の生産力が限られる将来において、極私的には昆虫食は不可避の選択肢だと思うのですが、どんなものでしょう。
・モバイル顕微鏡で見る海辺の小さな世界 —微生物とマイクロプラスチック
近年重要な環境問題となっている、マイクロプラスチックについて動画の後半に出てきます。人間のサイズでは微細なものでも、微生物にとっては身体内に入り込んでくる極めて危険な侵入者であり障害物。プラスチック汚染の生々しいありようが見てとれます。そして、環境調査の前線が少ない人手と労力によって辛うじて支えられていること。まず、自分たちの身近なプラスチックの無駄遣いとポイ捨てをなくすことからですね。
・ぐんま☆じゅとく☆繭から生糸をつむごう
サイエンスアゴラには中学生や高校生も参加してきますが、群馬の樹徳高校は常連組。毎年、蚕に関するユニークなブースを出しているのですが、今年は動画で参加継続となりました。長年にわたる活動の継続と一生懸命に準備したことが伝わってくる良い動画だと思います。理科教育においては、受け身ではなく、自ら発信を行う意識を持った生徒を育てていかねばならないと改めて実感しました。