『落ちこぼれ天才竜医と白衣のヒナたち』短評
今回のレビューは先月発売のMF文庫の新刊からです。
『落ちこぼれ天才竜医と白衣のヒナたち』特設サイト | MF文庫J オフィシャルウェブサイト
面白いです。手堅くまとめられたロー・ファンタジーの佳作です。過去に疵を持つ青年と幼女たちというのはテンプレの取り合わせですが、ほのぼのとした心の交流、青年や幼女たちの人間的成長はしっかり描かれています。
竜こそ登場しますが現代世界に竜が迷い込んできたという設定で、あくまで世界観はロー・ファンタジーです。医療をテーマにした小説はたくさんありますが、竜を治療するファンタジーというのは数少ないはず。題材のニッチさに加え、治療現場の緊張感や臨場感、竜を治療する際の難しさ、チームとして医療にかかわるメリットと問題点など、現場に足をつけた描写へのチャレンジが評価できます。
サスペンス系の医療小説と比べてしまうと見劣りする部分はありますが、ライトノベルというジャンルの制約と恐らくページ数・尺の都合で仕方ない部分はあるでしょう。続刊を期待できるクオリティにあると思うので、期待して待ちたいと思います。