otomeguの定点観測所(再開)

文芸評論・表象文化論・現代思想・クィア文化・社会科・国語表現・科学コミュニケーション・初等数理・スポーツ観戦・お酒・料理【性的に過激な記事あり】

2021極私的回顧その1 マラソン・長距離(男子)

 久しぶりのスポーツ観戦の記事ですね。極私的回顧、続きます。2021年のマラソン・長距離の総括は、まず男子から。

2020極私的回顧その1 マラソン・長距離(男子) - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)

2019極私的回顧その1 マラソン・長距離(男子) - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)

2018極私的回顧《スポーツ》① マラソン・長距離(男子) - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)

2017年極私的回顧《スポーツ》① マラソン・長距離(男子) - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)

 

【今更ですが東京五輪男子マラソン

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陸上 男子マラソン | 東京2020オリンピック | NHK

2021東京オリンピック総括④男子マラソン・長距離 - otomeguの定点観測所(再開) (hateblo.jp)

 まず、今年最大のレースであった東京五輪を改めて振り返ります。キプチョゲの異次元の走りは印象的でしたが、日本の大迫も堅実に力を出して6位。とりあえず最低限のノルマは果たしたレースでした。あとの二人についてはリンク先でもコメントしていますが、無様なレースをした。それだけです。初めから格落ちすることは分かっていたとはいえ、自国開催の五輪で、暑さ対策に失敗し、醜態をさらしました。繰り返しますが、選考会として世紀の凡戦であったMGCなるものの無意味さを改めて示したレースとなりました。

 大迫に続き、世界と勝負していけるエース格が出てくるのか。一発屋のランナーはぞろぞろ出てきても、競技力を継続できないのが現在の日本男子の現状ですが、パリ五輪に向けて、誰が軸となってくるのでしょうか。日本記録保持者の鈴木健吾にしても、まずは最低でも6分台でまとめていく地力をつけてほしいものです。

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【継続されるMGC

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 当ブログで散々disってきたMGCですが、パリ五輪に向けても継続されることになりました。昔の不透明な選考に比べればずっとましであるとはいえ、やはり東京マラソンと他のローカルレースを同じ線上に扱うレース体系は、ローカルレースの無意味な延命措置であるようにしか思えません。当ブログの見解は変わりません。五輪の選考は男女ともに東京マラソンにおける一発勝負でいいです。国内最高レベルのレースに男女の一線級を集め、勝負と記録をかけさせればいいのです。

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福岡国際マラソン | 大会結果・記録

 先日、福岡国際マラソンがその歴史に幕を下ろしました。かつては世界一を決めるレースとして隆盛を極めた大会でしたが、近年は世界の一線級の出場がないローカルレースと化しており、最後の大会は海外招待選手のいない、寂しい大会となりました。びわ湖毎日マラソンも今年で幕を下ろしましたが、日本が開催してきたエリートマラソンの歴史に終止符が打たれたわけです。まあ、その役割は、日本の実業団同様、とっくの昔に終わっていましたが・・・。

 未だ古い体系を残したままの日本の実業団から大迫級のエースが出てくるのかどうかははなはだ疑問なのですが、現状では、JMCシリーズの中から、エースとなる実業団選手の登場を待つしかありません。

 いろいろマイナスなコメントを並べましたが、それでも、日本の男子マラソンは長き低迷を脱し、良いサイクルに入っています。箱根出身の選手たちが箱根駅伝を踏み台にマラソンで世界と戦うことを目指すという、正常な競技サイクルが回っています。まずはさらなる日本記録の更新と、シカゴやボストンなど海外のビッグレースで優勝争いができる、大迫に続く一線級の選手の登場を待ちたいと思います。

 

【トラックはまず3000m障害に注目】

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三浦龍司 - Wikipedia

 現在、男子の長距離トラックを牽引する種目は10000m・5000mではありません。3000mSCです。2010年代後半、男子長距離が国際大会に代表さえ派遣できない体たらくの中、国際大会で実績を残し、男子長距離の命脈をつないできたのは3000mSCの選手たちであり、まずそのことがもっと評価されるべきであることを述べておきます。

 現在、その筆頭格にあたるのが順大の三浦龍司。東京五輪では日本記録を更新し、そしてこの種目では日本人初入賞となる7位に入りました。トラック長距離種目での入賞は、2000年シドニー五輪高岡寿成以来の快挙でした。箱根駅伝では1区を走るそうなので、そちらにも注目が集まるでしょうが、2022年はさらなる日本記録の更新に期待をかけましょう。記録がもう数段伸び、来年のオレゴン世界陸上ではメダル争いをするところを見てみたいものです。

5000m坂東17位、松枝18位と予選惨敗 松枝「力のない選手でも時間をかけたら舞台に立てる」 | 月陸Online|月刊陸上競技

日本記録保持者・相澤晃の初五輪10000m入賞まであと26秒「世界との差大きい」 | 月陸Online|月刊陸上競技 (rikujyokyogi.co.jp)

10000m伊藤達彦、中盤遅れて22位 世界の壁に跳ね返され「またイチから」ラストは“らしさ”見せる | 月陸Online|月刊陸上競技 (rikujyokyogi.co.jp)

 10000m・5000mはともに東京五輪では振るいませんでしたが、2016年のリオ五輪以来、5年ぶりに両種目に選手を派遣できたことを、まず2021年の収穫と考えましょう。リオ五輪のときは大迫を除く選手たちが世界とのレベル差に気圧されてヘタレなコメントを発していましたが、今回はそういう腑抜けなことはない模様。2022年のオレゴン世界陸上で、まずは10000mでの入賞を目指し、国内での切磋琢磨からのリベンジを期待したいと思います。

【オレゴン世界選手権への道】参加資格有資格者一覧:日本陸上競技連盟公式サイト (jaaf.or.jp)

2022年度に行われる日本代表選手派遣国際大会の代表選手選考要項を掲載しています:日本陸上競技連盟公式サイト (jaaf.or.jp)

https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202108/17_171714.pdf

駒大・田澤廉が世界選手権の標準突破第1号!日本歴代2位、日本人学生最高の27分23秒44! | 月陸Online|月刊陸上競技 (rikujyokyogi.co.jp)

 現在、来年のオレゴンに向けて、世界陸上の標準記録を突破しているのは、3000mSCで順大・三浦龍司と、10000mで駒大・田澤廉。ともに次の箱根駅伝に出てくるランナーです。ここに実業団の選手たちが負けじと加わり、トラックシーズンがもっと熱くなることを期待したいです。

 

 箱根駅伝を通過点とし、トラック・マラソンで世界と戦う。大迫世代が正常な競技サイクルを回し始め、「箱根から世界へ」というスローガンがようやく現実味を帯びた1年でした。長年の低迷が打破され、ようやく活況を呈し始めた、男子マラソン・長距離。この良い流れが2022年も続いてくれることを切に祈ります。