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『持続可能な魂の利用』短評

 今回のレビューは5月に発売された松田青子の新刊からです。

  

持続可能な魂の利用

持続可能な魂の利用

 

  まず冒頭『少女革命ウテナ』の引用から始まり、さまざなな女性たちがあげるおっさんたちへの叫びと怒りと抗議と諸々の声をストレートに浴びせてくる作品です。世の中が男性中心で回っていて、女性がそれに違和感を叫ぶだけでも、お叱りを受けたり、男性に理解されなかったりする。おっさんの視点から見れば気を遣って声をかけている、男性との差別の内容な扱いをしている、そんなことが威張っているとかセクハラとか受け取られて、女性たちから反発を食らっている。私を含めたおっさんたちは、まず自分たちが圧倒的な構造的優位に立っていることを理解しないといけないんですよね。

 フェミニズム視点で見れば賛同できるけど、勤め人としての視点で見るとこれを会社でやられたら窮屈だ、面倒だなと思ってしまいました。男女間に性差はあるけど上下はないはず。その当たり前の叫びを受容するアンテナを失いたくはないけど、いざ男性原理の強い会社で男性側に回って働いていると、実行するのはすごく難しい。自分の中の矛盾にざわつく感覚を覚えながら本を閉じました。