第19回Sense of Gender賞2019 1次選考会レポ
今回のテキストは、去る7/18の夜にZoomで行われた第19回Sense of Gender賞の1次選考会のレポートです。仕事が終わって疲れた頭で参加したのでろくすっぽメモなど取っておらず、雑駁なものですが何卒ご容赦ください。
【関連リンク】
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毎年、SFセミナーの合宿企画として行われているセンス・オブ・ジェンダー賞(以下SOG賞)の1次選考会ですが、今年はコロナの影響でSFセミナーが中止になったため、約2か月半遅れてZoomでの開催となりました。長年視聴したり茶々を入れたりしている企画ですので、今年も参加せねばと、仕事から帰ってアクセスしたのですが。
小谷真理さんはじめ見たことのあるSOG、戦闘的フェミニスト(??)のおねーさま方が顔を連ねる中、男性は私1人。女子会の中に場違いの男が1人で突っ立っているようで、なんとも。いつもなら巽孝之さんや岡和田晃さんなど男性の論客も複数いてくれるのですが。岡和田さんは複数の作品を推薦していたので、「岡和田はどこ?」なんていう声もあがっていました。夜遅くのZoom会議となると、いろいろご家庭の事情もあるのでしょうが。
それはともかく、選考会で有力視されていた作品を並べてみましょう。いつものことですが、SF小説だけでなく複数メディアにわたるものになっています。
・・・まあ、こんなところですか。漏れがあったらごめんなさい。
SFの文学賞なのに腐の趣味が前面に押し出されているのは、SOGのおねーさま方の趣味なので仕方ないです。しかも巽・岡和田不在となれば、議論の流れはむべなるかなという感じですね。極私的にはもっとSF小説を入れて文学的に硬派な面を見せてほしいと思うのですが。
この中で極私的に推したいのはまず『ファミリーランド』ですね。日常生活を高度技術が変容させていく様が描かれた、文藝サイドからの発信ながら世界観や物語構成に技術的・SF的思弁が挿入された意欲作です。というか、『宿借りの星』は別格として、小説がこれしか残らなかったので残ってほしいと思います。
もう1つは『さらざんまい』。どこがジェンダーSF?? と、疑問を呈する向きもあるかと思いますが、この選考会では、『少女革命ウテナ』以来トランスジェンダー的な強い女性を描いてきた幾原邦彦が、男性の弱さに焦点を当てて男性のジェンダーを描いたことが革新的だと評価されていました。男性視点から見ると腑に落ちない解釈もあるんですが、マッチョ的ではない男性の弱さともろさと強さを正面から描いていたのは確かですからね。ジェンダー作品というとLGBTQ的な作品が主軸になりがちですが、そこからズレた作品が入ってきても面白いかもしれません。
また、批評・ノンフィクションでは、『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』がこの中では唯一(??)の正面切ったフェミニズムの文芸批評なので、何とか残ってほしいと思いますが。あとはおねーさま方次第なので、続報を待つしかないですね。
残念だったのは、今年も翻訳作品が対象外とされたこと。フェミニズムSFとして完成度の高い作品もあったのに。来年は是非翻訳部門復活でお願いします。
この後は7月下旬にSOGメンバーで最終候補作5作への正式な絞り込みを行い、その後に最終選考会が行われます。最終選考委員はなかなか面白いメンバーになるようですが、すみません、オフレコで。
あと、一部の界隈で騒動になっていたものも念のため貼っておきます。
#SOG賞2019 のタグを用いてBL研究家の溝口彰子氏から受けた不可解な中傷について経緯をまとめました。やりとり全て原文のまま載せましたが、認識違い等ありましたらご指摘のほどよろしくお願いいたします。
— 浅原ナオト@文庫カノホモ発売中&ドラマ再放送中! (@asahara_naoT) 2020年7月18日
BL研究家の溝口彰子氏から受けた中傷についてのまとめ - カクヨム https://t.co/R9jNiI79Fm
原作者のまとめを引用RTするに当たって。
— あまりもの (@tinamisango) 2020年7月18日
私はドラマ「腐女子、うっかりゲイに告る。」は、BLファンのコミュニティの外側に向かって問題提起した、社会的意義のある作品である、と考えたので #SOG賞2019 ノミネート作品募集に投稿しました。
その責任があると感じ、このまとめを拡散する次第です。 https://t.co/19TDB02LuB
浅漬ナオトさま 一連のツイート及びまとめを拝読いたしました。ジェンダーSF研究会です。18日夜行われたzoomによる #SOG賞2019 の最終候補作絞り込み会議でもこの件が取り上げられましたので連続ツイートにてご報告いたします。
— ジェンダーSF研究会SOG賞 (@SOGaward) 2020年7月18日
HIVおよび当時の関連した同性愛者への差別を知っている者からすると、溝口彰子氏の懸念と心配も理解するが、原作者さまのおっしゃることはもっともであること、またドラマ視聴済みの会議参加者からはHIV描写も含めて、全員から好意的な評が上がりました。#SOG賞2019
— ジェンダーSF研究会SOG賞 (@SOGaward) 2020年7月18日
腐女子とゲイが対立した時代が過去にあり、一方で現代に腐女子とゲイが接近するという物語が放映されたことは喜ばしいこと。HIVは治療法ができた現代でもセンシティブな問題でありゲイ、ビアン、ヘテロ、過去現代の差別問題についても温度差があるということ。 #SOG賞2019
— ジェンダーSF研究会SOG賞 (@SOGaward) 2020年7月18日
しかしHIVを扱うこと自体が問題となってしまうのはよくないことなので、作品に登場しそれぞれの立場から意見が出るようになったのは良いことであるというのが参加者一同の考えです。 #SOG賞2019
— ジェンダーSF研究会SOG賞 (@SOGaward) 2020年7月18日
私はドラマを見ていないので選考会では何も発言しませんでしたし、一連のやりとりについてはコメントできる状態にないので引用のみとしておきます。