otomeguの定点観測所(再開)

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2021箱根駅伝復路感想および留学生問題について

 非常に遅ればせで恐縮ですが、箱根駅伝復路の感想でございます。

 


大逆転 / 2021箱根駅伝 復路 ペース・順位変動グラフ Hakone Ekiden 2021

駒澤大・大八木監督は「唯一無二の存在」 早大OB八木勇樹氏が復路の逆転劇を分析 - スポーツナビ (yahoo.co.jp)

 もう皆さんご存じのとおりですが、10区で駒沢が創価を逆転。劇的な逆転優勝となりました。優勝への重圧から失速、奇跡の逆転。失速したランナーが「来年強くなって戻ってくる」とツイート。駅伝としてはドラマチックですし、母校の襷を背負う重みを改めて感じさせる、大舞台としての箱根の醍醐味でしょう。極私的には非常に不愉快なものを見せられている気分です。

 たかが箱根駅伝ですよ。所詮関東のローカルレースです。公式競技じゃありません。何度も書いていますが、箱根駅伝の成績は選手の競技力を表すわけではありません。来年、箱根で借りを返すということではなく、これからのロード・トラックの成績で巻き返せばいいじゃないですか。それに、陸上競技は本来個人競技ですよ。箱根駅伝当日はチームのために真剣に戦うことでいいと思いますが、全精力をチームのためにそそぐチームスポーツとしての精神性は正しくないはずです。

 カレッジスポーツ及びエキシビジョンとしての箱根駅伝が盛り上がるのは大いにいいことです。しかし、各所にまだまだ箱根偏重の歪みがあるなあと感じさせる幕切れになったような気がします。

 そして、今回気になった話題がこちら。

www.tokyo-sports.co.jp

 何十年堂々巡りの議論をしているんでしょうね。極私的には駅伝における留学生の枠はいらないと思っています。箱根で全区間ケニアエチオピアの選手で構成されたチームが出てきてもかまわないと思います。高校駅伝も、留学生に関する制限を一切撤廃し、1区に留学生を走らせるべきです。

 箱根駅伝をはじめ、駅伝は何のために存在するのか。駅伝でチームが勝つことはもちろんいいことですが、それが駅伝の主目的ではないはずです。駅伝を通じて切磋琢磨して日本人選手をレベルアップさせ、トラックやマラソンの成績向上につなげることが本来の目的のはずです。ハングリー精神を持ったアフリカ選手が牽引してレベルアップし、それに日本選手が刺激を受けるなら、素晴らしいことじゃないですか。

 それに矛盾していますよね。世界に通じる日本選手を育てたい。でも、駅伝ではアフリカ勢に勝てないから時代錯誤的な制限をかける。高校大学時代から、アフリカ選手には勝てないという刷り込みを選手に行っているようなものです。かつて新谷仁美高校駅伝で留学生をねじ伏せて3年連続1区区間賞を取りました。彼女が規格外なのではなく、彼女に続く競技力とメンタルを有するランナーを育てなきゃいけないんです。


伏兵現る!★ 新谷仁美(1年生)全国高校駅伝1区 区間賞


全国高校女子駅伝1区 新谷仁美 史上初の18分台の快走!


新谷仁美 2年連続18分台で区間新記録 2005年 全国高校女子駅伝1区

 何度も書きますが、陸上競技個人競技です。チームスポーツではありません。チームが勝つための恣意的な制限やルールなど、不要なのです。スケールの小さなことをやっている限り、日本のマラソン・長距離は世界で勝てないんでしょうね。