極私的回顧第21弾はギャルゲーです。表題からお分かりの向きも多いと思いますが、今回は18禁ですので、その手の趣向を許容できない方はこの先のテキストをお読みにならないようお願いします。また、いつもの通りテキスト作成の際にamazon、ＤＭＭほか各種レビューを参照しています。
2019極私的回顧その21 ギャルゲー - otomeguの定点観測所（再開） (hateblo.jp)
2018極私的回顧その15 ギャルゲー - otomeguの定点観測所（再開） (hateblo.jp)
2017年極私的回顧その１５ ギャルゲー - otomeguの定点観測所（再開） (hateblo.jp)
2016極私的回顧その１５ ギャルゲー - otomeguの定点観測所（再開） (hateblo.jp)
【マイベスト５】
１、天ノ少女
Innocent Greyさん (@twit_Gungnir) / Twitter
2008年の『殻ノ少女』発売から12年。2020年末、Innocent Greyの伝説的三部作が遂に完結しました。シナリオの入れ子構造はやはり予想した通り。TRUEにすべてを集約するのではなく、ENDごとに焦点を当てる登場人物を変え、さらに別ルートの伏線や死亡者をTRUEへの鍵として配置し、ミステリとしての完成度を高めています。物語に沿って証拠がフェアに提示されていくので謎解きは難しくないですが、三部作の幕としてユーザーの琴線を深くくすぐる理想的なTRUE ENDを迎えたと思います。12年かけたシリーズの集大成として、あらゆる面で完成度の高い超一級の作品となりました。屹立した存在感は2020年度の１位にあげざるを得ないと思います。
次回作は『カルタグラ』のリメイクだと思われますが、その先に完全新作が待っていることを期待したいと思います。
２、終ノ空remake
終ノ空 remake | 素晴らしき日々 10th Anniversary特別仕様版
終ノ空 - WikipediaケロQ/枕さん (@keromakurastaff) / Twitter
2018極私的回顧その15 ギャルゲー - otomeguの定点観測所（再開） (hateblo.jp)
2020年末から2021年年始にかけて、ただでさえ多忙なくせに『天ノ少女』をやった後に『終ノ空』→『終ノ空remake』→『すばひび』というコンボをかまし、HPとSAN値を極限まで削られるという稀有な体験をいたしました。長年予告されていた『終ノ空』のリメイク。1999年版と比較プレイをすることでよりその鬱度・厨二度が際立った感がありました。完成度ではやはり『すばひび』に軍配が上がるんでしょうね。当たり前だけど。ただ、『すばひび』では理を理解しないと世界が解析できないのに対し、『終ノ空』ではP→P Q→Q ￢P ￢Q P∨Q ￢(P∨Q)＝￢P∧￢Q (not (P or Q))==*1 ￢∀xA(x)⇔∃x￢A(x) x=∞ y┨o・rrs/rhjyi┨so・・╋hu/s/m/oai/w/taa/uに対する答え及び世界がむき出しで提示されているので、解析の難易度は低くなっていますが。
シナリオの構造自体は『すばひび』と変わらないため、詳細な感想は上記リンクから厨二的な言語遊戯をコピペ＆少し手直ししてお茶を濁します。
ＯＯＯにかぶれた向きからすると、『すばひび』も『終ノ空』もヴィトゲンシュタインの言語哲学というよりはヴィトゲンシュタインの認識論を経由したカントの認識論をベースにして独我論的に実存の暗部を解釈し単独者としての生と幸福をトートロジー的に正当化しているためそのアプローチは古き良き実存主義的に過ぎており間社会的存在としての人間に対する考察をオミットしている感があるのですが、かつてサルトル現象学にまみれた向きからすると言語＝コギト＝意識を手がかりに人間の圏域を対自が観測できる範囲に基定して実存を即自的世界を切り離して内世界に頽落し独我的に突き詰める、認識論的にオーソドックスな印象のものでした。結局、哲学的に基定すると、身体性を捨象するようで身体性に着地し認識ではなく認識論的な遊戯に徹する『すばひび』も『終ノ空』も真っ当なドイツ観念論の系譜に属する作品なのだと思います。
で、次は『サクラノ刻』が出るってことでいいんですよね？？
３、まいてつ Last Run!!
【Lose】まいてつ Last Run!! ハチロクルートOPムービー【フレーム補間/60fps】
【Lose】まいてつ Last Run!! ふかみ凪ルートOPムービー【フレーム補間/60fps】
Lose@本物「まいてつLast Run!!」発売中！！さん (@news_lose) / Twitter
進行豹@10/3～『レヱル・ロマネスク』『蓄音レヱル』10/30『まいてつ Last Run!!』さん (@sin_kou_hyou) / Twitter
TVアニメーション『レヱル・ロマネスク』公式サイト (railromanesque.jp)
TVアニメ「レヱル・ロマネスク」さん (@rail_romanesque) / Twitter
極私的には最も思い入れの強い作品です。作品の完成度については否定的な意見も多かったですし、無用な炎上も起こしてさらに評価を下げた向きもありますが、
まいてつＬＲの批評空間全削除について - otomeguの定点観測所（再開） (hateblo.jp)
作品単体として評価すればノベルゲーム史上において屈指の完成度であることは間違いないですし、ロリゲーが聖地巡礼やアニメ化においてこれだけの広がりと支持を見せたという事象そのものが、『まいてつ』の高い価値を表しています。
今後は『まいてつ』の補完に徹し、完全新作を作らないことを表明していますが、『ものべの』『まいてつ』とオリジナリティにおいて屹立した無二の価値を作り上げたブランドなのですから、クラファンでも何でもやって（お金出しますから）新作を作ってほしいと切に思います。
以下、レビューを再掲します。
『まいてつ Last Run!!』感想⇒日本のノベルゲームの頂点の１つ - otomeguの定点観測所（再開） (hateblo.jp)
『まいてつＬＲ』は「日本のノベルゲームの頂点の１つ」という評価でいいと思います。シナリオ、音楽、ビジュアルなどあらゆる面において高い完成度であった前作をさらに積み増し、完成度のかさ上げしながら、音楽など膨大なコンテンツを詰め込んできました。よくぞこの価格で提供できたと感じるほどのボリュームです。新型コロナの影響で残念ながら発売日が３カ月延びましたが、アニメ『レヱル・ロマネスク』放送と時期が重なり、相乗効果を起こす結果となったのもかえって良かったですね。現在、『レヱル・ロマネスク』を含む秋アニメが恐らくここ１０年では最高の密度で展開していますが、極私的にはここ数カ月の各種コンテンツの充実ぶりには嬉しい悲鳴をあげています。もはや仕事などしている場合ではない。
あらゆる面が武装強化されている『ＬＲ』ですが、あえて１つ挙げるならシナリオの完成度でしょう。各キャラのアフターもきちんと仕上げてきましたが、グランドルートと仲国ルートの完成度の高さがなんといっても特筆です。世界観の拡張、設定の徹底的な作り込み、「泣き」も「笑い」も含むレイルロオドたちの心の機微、エンディングに向けた各種要素の回収・収斂など、細部まで緻密に組み上げられた力作です。18禁という枠を外しても、過去にプレイしてきたノベルゲームのシナリオとして最高点の１つだと思います。
あえて不満を述べるなら、極私的には『まいてつ』の正史はポーレットルートであり、メインヒロインはれいななので、れいなのＨシーンの追加が１つしかなかったことですね。さらに、ハチロクとれいなの３Ｐがソフマップ限定版にしかついていないというのもいかがなものかと。もちろん私は回収しているので問題ないんですが。まあ、例によってこの後いろいろ追加されてくると思うので、その展開も楽しみにしております。
４、Summer Pockets REFLECTION BLUE
Key『Summer Pockets REFLECTION BLUE』オープニングムービー
Summer Pockets REFLECTION BLUE | Key (visualarts.gr.jp)
Key開発室さん (@key_official) / Twitter
前作『Summer Pockets』の増補版ですが、お茶を濁すことなく物語を補完する役割を担った良作でした。「田舎」「青春」「夏休み」「郷愁」といったキーワードで抜群の雰囲気を持った舞台に心に沁みるシナリオを乗せ、シナリオのメタ構造と入れ子構造で力強くTRUEへとユーザーを誘っていく、心癒される作品です。「泣きゲー」に原点回帰したKeyの流れが途切れることなく続いており、非常に喜ばしいです。「CLANNADは人生」という有名なフレーズの照射として『サマポケ』もまた人生であり、現時点におけるKeyの解答そして集大成としてこの作品があるのでしょう。
５、ねこツク、さくら。
ランプオブシュガー最新作『ねこツク、さくら。』ティザームービー
ねこツク、さくら。オフィシャルホームページ (lumpofsugar.co.jp)
ランプオブシュガー公式＠まどひ白きの神隠し５月２８日発売！さん (@lumpofsuger) / Twitter
大変申し訳ございませんが、ランクインの理由はただ１つ、ロリきょぬーのツキたんに激しく萌えてしまったからです。131センチのＦカップ。小学校３年生くらいの身長に大きなおっぱい、どこもかしこもつるんとしたその体。なんと甘美なのでしょう。抱き枕カバーに手を出しました。しょっちゅう抱っこして寝ています。やはり私は社会に存在してはいけないダメ人間なのだと切に感じます。
【とりあえず2020年総括】
緩やかに滅びの道を歩んでニッチ化して久しいギャルゲー市場。新型コロナの影響はやはり免れず、2020年前半は制作の延期の報が相次ぎました。しかし、秋から年末にかけてたたみかけるように極私的に追っている名作の新作やリメイクなどが次々に発売され、年末年始はコンテンツを消費するのに必死とならねばならない幸福な時間を送りました。世界設定やシナリオにこだわりを持った作品から知的刺激を得ながらSAN値を削られる極上の体験。結果としては極めて豊穣な１年になりました。
これで『まいてつ』がもう少し幼分補給に貢献してくれればいうことはなかったのですが、そこは今年の補完に期待ですね。
これだけ極私的に豊作の１年の後だと、今年の反動が怖いのですが。まあ、ゆるゆるとプレイしていくことになるのでしょう。
*1:not P) and (not Q
